アーツ アンド プリント
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「磯江毅=グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才」展を、見に行く。
(公開 2011年10月22日~12月18日)
毅は「つよし」と読む。
奈良県立美術館
新聞の紹介記事(朝日新聞社主催)で、女性を克明に描いた鉛筆画を見て、そのリアリズム表現に目を見張らされた。
その卓越した観察力とデッサン力に、この人は何者なのかと思わせるものがある。
1954年(昭和29年)生れ、大阪市立工芸高校を卒業し、1974年、19歳、単身シベリア鉄道で渡欧、スペインの王立美術学校などでデッサンを学んだ後、作品を発表、様々な賞を受賞し当地で高い評価を受ける。
以後30年余に渡って油彩、鉛筆画による写実絵画を探求する。
平成8年ごろから日本にも拠点を置き、広島市立大学芸術学部などで教壇に立つなど後進の指導にもあたったが、
2007年9月23日、呼吸不全のため、53歳で死去。亡くなるまで4~5年は、病魔と闘いながらの制作であったという。
「見つめれ� �、見つめる程、物の存在が切実に映り、超現実まで見えてくる事がある。そこまで実感し、感動を起こす精神の繊細さをもって初めて実を写せるのではないだろうか。習い覚え、慣れ親しんだテクニックだけでに頼って機械的に描かれた画面に、実が宿るはずはない。」(磯江毅「わが写実2」/『月刊美術』1991年12月)
「内田樹の研究室」に、磯江毅の亡くなる数ヶ月前、彼の展覧会での話が載っている。
記事の日付が、2007年4月24日、磯江の死が、同9月23日。
磯江毅と内田樹が回話を交している。
「磯江毅さんの展覧会に行く」
磯江毅さんの展覧会(「存在の美学」)を見になんばの高島屋に行く。
磯江さんは山本画伯のスペイン苦学時代の友人で、写実主義の画家である。
絵を拝見す� �のははじめてである。
順繰りに6人の画家の作品を眺めてから、山本画伯と磯江さんにシロートの適当な感想を申し上げる。
写実絵画からは腐臭がする。
どうしてかしらないけれど、写実が端正で緻密であればあるほど、そこに描かれているものから腐臭や屍臭に似たものが漂ってくる。
それがぼくはわりと好きなんですけどね、と申し上げる。
磯江画伯がぐっと膝を乗り出して「そうなんですよ」と言う。
「写実主義の絵画には時間が塗り込められていますから。」
(以下省略)
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新聞に載っていた件の女性を描いた絵は、かなり大きな作品の一部分で、全体は薄暗い空間に裸の女性の全身像が仰向けに浮んでいる(?)という作品であった。決ったモデルがいて、そのモデルを克明に写生して、まるでその存在をそのまま、この画紙の上に移し採ってしまったかのようにすら思える。頭髪の一本一本、鼻の穴と口元の柔らかさ、胸元から腕、指先、長く伸びた美しい足、その陰翳の作り出す不思議なリアルさは、そのモデルを本当にこの空間に浮べて、描いたのではないかと思わせる程だ。この「深い眠り」などの制作には、2年くらい掛っているという。眠っているような永遠の時が、画面の中に流れている。きれいな画面ではない。よく見ると画面の上には、滲みや汚れのようなものまでが描かれて いる。つまりそれは、汚れているのではなく、その汚れすらを描いている。しかしその汚れが、意識的に写真ではない写実主義の真骨頂を際だたせている。それは言換えれば、その女性を描くと云うより、紙の上に描いた女性であることが優先されているかのように思える。その限りなく現実に寄添った画面は、既に、現実から離れて別の空間に存在している。長い時間を掛けた細かい丁寧な黒鉛の積重ねが、この作品を前に人を、神聖な清々しい気持にさせる。
目を引くのは、そうした鉛筆画の大作だが、油絵や、デッサンなども丁寧に揃えられていて、磯江毅という、まだそれほど知られていない画家の、全体像を見通せられる構成である。マルメロや葡萄、カリフラワー、柘榴などの静物と共に、皮を剥がれた兎や鶉の絵などもあって、ギョッとさせられるし、高橋由一に捧げられた鮭の油絵を見ると、磯江が自分の制作の原点に、何を持っていたのかを深く想像させる。
写真と写実絵画とに、人はその意識の中で、如何様にその価値判断の折合いを付けるのだろうか。マンチャ(汚れ)と称するスペイン式のデッサン法によって、きめ細かい女性の肌を画紙の上に定着していく手法を自身の制作の基本に据え、それを突詰めて成立する磯江の手法と、シャッターを押せばその自然の光と影を化学的に定着させるゼラチンアートとが、似て非なることは明かである。しかし、それが何処にその違いを、それを受止める人に対して際だたせているのだろうかと。どこに人はそれの美を見いだすのだろうか。何を受入れ、何を退けるのだろうか。写真には写真の持つ美しさがあるし、写実絵画には又それとは異なった美しさが人を感動させる。そうではなく、それを受け止めるその人間が、自身の意識� �その作品を受入れ、あるいは退ける差違は何なのかを知りたくなってくる。磯江の作品は、そうした思いを喚び起させる作品である。
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(追記)10/27
内田樹が山本画伯と呼んでいる山本浩二画伯が、2009年9月、ミラノで展覧会を開いている。磯江が亡くなって2年後。内田樹はその展覧会のカタログに寄稿して、磯江と山本の作品の類似と差違について、述べている。その寄稿文を引用されているブログを拝見したので、少し引用させて戴く。一部、先の内田のブログの内容と重複しているが、そこで、磯江と回話をしていて不意に理解したのだと云っている。「長く疑問に思っていた絵画の本質について」、「絵画の本質」というのは、筆者の解釈的言回しではあるが、多分そういうことなの� ��と思う。つまり「画家はどういう理由で、その技法を「具象」と「抽象」に分岐するのか。」
ただ気になるのは、内田樹が磯江のことを「才能豊かな静物画家」と呼んでいることか。多分高島屋の展覧会の出展作品が、静物画であったためなのだろうが、あるいは磯江の他の作品についても、その本質的な描き方が静物画を連想させるものだという読みがあるのだろうか。
もう一つ、気になるのは、ブログでは「腐臭や屍臭に似たもの」と書かれていたのが、ハッキリと「死臭」と書かれている。確かにブログにも「屍臭」という言葉が使われているが、少しニュアンスが違っているようにも思える。回話を交した後間もなく磯江が亡くなったことが、この言葉を選んでしまったものだらうか。
引用は、勝手な省略などし� �いるので、正確には、以下のブログを拝見して欲しい。
いや、ほんのちょっとだけ。
山本浩二画伯の個展@ミラノ行きてー!
>
『山本浩二の芸術』 内田樹
画家はどういう理由で、その技法を「具象」と「抽象」に分岐するのか。長い間、それが私にはわからなかった。
漠然と、目の前にある対象を「写生」的に再現することに喜びを見いだす画家と、目の前にある対象を超えたもの、その向こうにあるものを描き取ることに喜びを見いだす画家のあいだには気質の違いのようなものがあるのだろうと考えていた。
山本浩二の古くからの友人であるひとりの静物画家の展覧会でのことだ。
その画家の静物画からは「死臭」がした。
彼は葡萄の画を描いていた。最初にテーブルに置かれた葡萄は画家がキャンバスにそれを写しているうちに腐敗して、崩れてゆく。腐った葡萄の粒を画家は取り除き、色とかたちの似た粒を接着剤で� �りつける。そのようにして一枚の画を描き終わったときに、最初にテーブルの上にあった葡萄はすべて腐って棄てられた。そして、画布の上にだけみずみずしいその葡萄の「デスマスク」が残されたのである。
では、あなたは静物=死んだ自然を描くことを通じて、それらすべてを含むもの、すなわち「時間」を描いていたのですね、と私は言った。
彼はその通りだと言った。
造形的にはみずみずしい果実が死臭を発していることで視覚が決して描くことのできないもの、すなわち時間を空間的に表象しているのだ、と。
奇妙な話だが、私はその静物画家の言葉をきいた時に、山本浩二がその抽象的な造形を通じて、何を描き出しているのかを不意に理解した。
あの才能豊かな静物画家は「死」を、それも「いき� ��きとした死」を描くことに成功した。「いきいきとした死」というのはまさに「生きているものが死につつあるその状態」のことである。だとすれば、と私は自分に問いかけた。山本浩二はいったい何を、どう描くことで、芸術家たちをそこに釘付けにしている空間的表象形式の限界を突破する気でいるのだろうか。
私には今ならその答えがわかるような気がする。
あの画家が「死」を描こうとしたのとは逆に、彼は「生成」を描こうとしているのである。
何かが生まれる瞬間の、というより直前の、ざわめきや、震えや、ときめきを描こうとしているのである。
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しっかり、あのリトの実践をされている。
四畳半のリトグラフ
2011年10月13日木曜日
キッチンリトグラフ その2
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「アーツ アンド プリント」について
このブログは、基本的に筆者の私的なノートであって、備忘録のようなものである。
内容が、勝手なコピーばかりで申訳ないが、私的なというところ当りで、御寛容を・・・・・。
(ここで、こんな言回しも、おかしなものだが・・・・・・・。)
「リトグラフについてのノート」という始りではなかったが、このところ、そんな方向になっている。
以下のホームページや雑誌記事を参考に、リトに付いていろいろ勝手に、コピ散らかせてもらっている。
まだ、しばらくは、リトについて、あ~でもない、こ~でもないと、彷徨い歩いてみようと思うが、
で、そのリトの実践は?・・・・・・・・・・。
で、本職の・・・・・・・シルク印刷のことは、どうなっているの?とか、なんとか。
・・・・・・・・もうしばらく、このあたりを、うろちょろしてから、・・・・・・よろしくお願いいたします。
リトグラフ 参考サイト +
1.SATOKO's HOME PAGE
●石版画について
版画家イイヅカ・サトコさんのホームページ
あくまで、石版リトグラフでの作業手順と用具の説明。懇切丁寧。もの凄く参考になります。
2.石版画研究会報告書東京版画研究所
イイヅカ・サトコさんのお師匠さん、阿部浩さんが版画研究所で講座を開かれた時のレポート。
この師にしてこの弟子あり。
3.TSUKUHAE通信──リトグラフ工房の日々
都心で唯一のレンタルリトグラフ工房。
TSUKUHAEの名称は、大正3年(1914)に恩地幸四郎、藤森静雄、田中恭吉の3人によって創刊された自摺の木版画誌「月映」によります。
ツクハエはリトグラフ工房ですが、一般にリトグラフといっても 石版とは限りません。
ジンク版、アルミ版、PS版(写真製版)によるものがあって判別できない作品もあります。
またプリント形式の異なるオフセット校正機を使用した作品もリトグラフと称しています。
それはともかく、版種の中で最も難しいといわれるリトグラフを研究する場として、ツクハエを設立しました。
イイヅカ・サトコさんの先輩が開かれた、工房のホームページ。
4.四畳半のリトグラフ
貧乏ヒマありの絵描きが四畳半でリトグラフ制作に挑戦するレ・ミゼラブル。
筆者が、リトの森に彷徨いこむ原因となったホームページ。
「キッチンリトグラフ」は、何処までも。
5.Itazu ILitho-Grafik リトグラフ制作工程
イタヅ・リトグラフィック
作家とのコラボレーションを基本とするオリジナル・リトグラフ版画工房。
石版 リトグラフの制作工程、アルミ版 リトグラフの制作工程共に、詳細に解説されている。
6.新日本造形ホームページ 平版画について
全国の学校や様々な教室・施設をはじめ、美術愛好家から専門家までの幅広い分野のニーズに対応した 「造形材料」をカタログを通して提供しております。
版画や陶芸関係の用具材料のカタログ販売会社。
平版についても、要領の良い解説がされている。
実際に用具を購入するときの参考になる情報が書かれている。
例えば、 「版画プレス機の購入にあたっての選定基準はどのようなものですか?」
という問の設定に対して、
(1)版種による選び方
(2)制作する作品のサイズによる選び方
(3)プレス機を設置する場所は一定のスペースが必要です!
(4)エッチングプレス機は、構造よりハンドル操作に 特徴があります。
------など、それぞれの項目に対して、こまめな情報を提供している。
7.915PRINTWORKSHOP◆ リトグラフのできるまで - 製版の進め方 ◆
■ 横井山泰の版画制作日記
■ 松谷武判[円-CERCLE 05-06]リトグラフ制作日記
■ アルミ板の研磨を探る
■ コラグラフという不思議な版画!
■ インクを作る
8.「Paper Dress」
Paper Dressは、イラストレーター松本加代子のアトリエです。
長野県在住の松本 加代子(イラストレーター/デザイナー)のホームページ
仕事内容●書籍イラスト・カット、紙面デザイン(パンフレット、チラシなど)、Webサイトの企画・制作を主に手がけています。
イラストは手描きテイストのおしゃれであたたかな作品を、Webは心に響くようなHP作りを目指しています。
トランスファー技法、ドライポイントなど版画ワークショップも行っています。
と、いうわけで、版画についてのページは参考になります。
「リトグラフ」
9.版画HANGA百科事典 目次
「版画のミクロコスモス」の中のサイト。
このコーナーは、リトグラフ: 永沼版画制作 代表 永沼 政之、銅版画:永沼版画制作 アトリエ部 代表 中込 洋子によって執筆監修しております。
10.女子美術大学版画研究室
版画コースカリキュラム の解説の形で、各版画の工程や用法が写真付で説明されている。
石版画 ・銅版画・木版画・シルクスクリーン
ブログも随分参考になる。
女子美術大学版画研究室ブログ
11.京都精華大学版画コースSeika-HANGA
製作工程などの解説はないが、制作風景を描いたイラストなどがカワイイ。
12.大阪芸術大学版画コースBLOG
大阪芸術大学 芸術学部 美術学科 版画コース
が運営しているブログです。
実習風景の写真を眺めているだけでも楽しい。
13.武蔵野美術大学
造形ファイルアートとデザインの素材・道具・技法
「リトグラフ用具」
関連項目
石版石 アルミ板 リトクレヨン アラビアゴム 製版液 プリントクリーナー 製版インク(リトグラフ用) プリントインク(リトグラフ用) ローラー プレス機
リトグラフの項目以外にも、関連した項目があり、一つ一つの説明が丁寧。
14ポリエステル・リトグラフって何?
.What is Polyester lithography?
.「Who is Naoji Ishiyama? 石山直司って誰?」というホームページの、版画家石山直司さんが、実践した、ポリエステル・リトグラフのレポート。いや、レポートいうよりポリエステル・リトグラフのオルガナイズ。面白いです。
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15.「版画芸術」 (阿部出版)2011年秋NO.153
「版画技法入門講座」
リトグラフを作ろう
第1回リトグラフの基礎
講師・佐竹邦子
「版画芸術」の最新号なので、次号に、第2回目が載るのだろう。
下記の「版画芸術」NO.123に佐竹邦子さんの、「足で踏んでリトグラフ制作」という、木版リトグラフの実践記事が出ている。
16.「版画芸術」 (阿部出版)2004年秋NO.123
特集「日本式リトグラフ」
「篠田桃紅」流 一枚のリトグラフから 青野和子
小作青史 枠組なきリトグラフ 化学反応技法+物理的技法
園山晴巳 現在進行形のリアリティ
星野美智子 黒のリトグラフ 無限の象徴
武藤篤彦 「版」---絵画の自由度
リトグラフの優しい原理解説
リトの技法的には、小作青史へのインタビューが一番面白い。
さすが、「木版リトグラフ」という、新しいリトを創作された方だけのことはある。
やってみなはれ、ためしてみなはれ、・・・・・四畳半氏に、通じる貪欲さである。
園山晴巳、星野美智子、武藤篤彦、各氏も、その作品の実践的な内容で、版画作家という方々が、
それぞれの作風を作っていくということ自体が、新たな版画技術を探っていく過程などだと教えてくれる。
その中で篠田桃紅さん� �、全く異なった場所でその作品を作られているのだといえる。
彼女には、木村希八という稀代の摺師がその版画制作のパートを支えていて、彼女は、水墨絵師として純粋に趣くままその筆を走らせている。このこと自体、書道家として出発した故の作家として、稀代希なる幸運な立場を自ら見付け得たものだと言える。無論それは、彼女の幸運ではなく、彼女の情熱の厚みであり、深さによってであることはいうまでもない。
自ら作陶をせず、絵付けだけで大作家として名を残した、魯山人を思い起させる。
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(追加)10/20
17.造ハウ.COM
ネット通販で、「用具」「材料」を探して値段などを比較すると、
「造ハウ」がお手頃な値段であるような気がす� �。
例えば、
「アルミ板 20×30㎝」 造ハウでは、359円、画材販売では、399円 文房堂などもそれくらい。
「チンクタール100ml」 造ハウで、1418円、画材販売1575円 夢工房なども同じくらい。
で、とりあえず、「造ハウ」さんのサイト。
18.「季刊版画」9号~12号(1970年10月~1971年7月)
吉原英雄「石版画の技法」
ひょっとすると、この雑誌は、今では幻の版画雑誌ということになっているのかも知れないが、
版画ブームの最先端を走っていた当時の新鋭版画家が毎号登場していた。
12号で休刊して、それから暫くしてから、「版画芸術」が創刊された。
たまたま、この古い雑誌が手元にあるので読返している。
吉原氏は、元々、6回の連載の予定をしていたらしいが、雑誌が12 号までになったために4回連載に圧縮したと書いている。
「最近では、印刷会社で、石版石の代りに金属平版を使うようになったので、石版石の輸入は止ってしまったようである。」
などと、書かれていて、直近まで印刷会社で、石版石が使われていたような話に、時代を感じる。
技術的なことでは、説明のなかなか解り難い石版画について、非常に丁寧な解説だと言える。
使用材料についても成分など、一つ一つ書上げていて、作業工程でも、自身の作業上で気づいた些細なTIPSを惜しげもなく書留めている。
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(追記)11/5
《魚津章夫公式サイト》に、「季刊版画」の紹介が載っている。
(追記)11/18
東京では仕方ないが、・・・・・・。
19. 東京版画研究所
東京版画研究所 | Facebook
上記、「2.石版画研究会報告書 東京版画研究所」参考
- リトグラフ
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朝はどんよりとした曇り空で、出かけるとき、
パラパラと冷たい雨粒が落ちてきた。
昼からは、しっかりとした降りになった。
夕方、その雨の中、車で出かけた。
その時間帯は小学生の帰宅時間帯と重なっていて、いつもなら、
つまり天気の良いときは、何人かがふざけあい、
道路いっぱいにはみ出したりして歩いている。
はらはらするほど、無頓着である。
車はその小さな王様、女王様達に気を使いながら、走っている。
しかし今日は雨で、かれらは傘を差して真面目な下校姿である。
さて、筆者のリトグラフのお手本は、先の「四畳半のリトグラフ」と、佐竹邦子さんの「入門講座」である。
とは云っても、まだ全然現実の世界では、ほとんど何も進んでいないのだが。< /p>
[版画芸術」2011年秋NO.153
「版画技法入門講座」リトグラフを作ろう
第1回リトグラフの基礎 講師・佐竹邦子
これでは、製版の工程に「シリコン」が使われている。
「今回は、従来製版に用いていたチンクタールではなくシリコンを使用し、・・・・・・・。」
と、ある。
先に筆者は、この佐竹さんの入門講座について、ウォータレス・リトグラフのことのように書いてしまっていたが、佐竹さんの技法は、あくまで湿式リトグラフであって、ウォータレス・リトグラフとは、異なる。ウォータレス・リトグラフは、「アラビアゴムの代りにシリコンボンドを使用する」という風に書かれている。それについては後日、もう少し詳しく、どのようなものなのか調べてみたい。
取りあえず、� ��シリコン」のお温習い。
ケイ素(シリコン)
出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』
ケイ素(ケイそ、英: silicon、羅: silicium)は、原子番号14の元素である。元素記号は Si。「珪素」「硅素」「シリコン」とも表記・呼称される。地球の主要な構成元素のひとつ。半導体部品は非常に重要な用途である。
常温・常圧で安定な結晶構造は、ダイヤモンド構造。比重は2.33、融点1410 °C (1420 °C)、沸点は2600 °C(他に2355 °C、3280 °Cという実験値あり)。ダイヤモンド構造のケイ素は、1.12 eVのバンドギャップ(実験値)をもつ半導体である。これは非金属であるが、圧力(静水圧)を加えるとβスズ構造に構造相転移する。このβスズ構造のケイ素は金属である。周期表においてすぐ上の元素は炭素だが、その常温常圧での安定相であるグラファイト構造は、ケイ素においては安定な構造として存在できない。
平和部隊はどこから来たのか?
歴史
1787年にアントワーヌ・ラヴォワジエがはじめて元素として記載し、ラテン語で「燧石」を意味する "silex"・"silicis" にちなみ "silicon" と命名。だがラヴォワジエは燧石そのものを元素だと思っており、1800年になってハンフリー・デービーにより化合物と判明したことからこれは否定された。1823年にイェンス・ベルセリウスが四フッ化ケイ素とカリウムを加熱して単離に成功した。しかし、それ以前の1811年、ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックとルイ・テナールが同様の方法でアモルファスシリコンの分離に成功したと考えられている。
概要
地殻中に大量に存在するため鉱物の構成要素として重要であり、ケイ酸塩鉱物として大きなグループを形成している。これには Si-O-Si 結合の多様性を反映したさまざまな鉱物が含まれている。しかしながら生物とのかかわりは薄く、知られているのは、放散虫・珪藻・シダ植物・イネ科植物などにおいて二酸化ケイ素のかたちでの骨格への利用に留まる。栄養素としての必要性はあまり判っていない。炭素とケイ素との化学的な類似から、SF などではケイ素を主要な構成物質とするケイ素生物が想定される事がある。
バンドギャップが常温付近で利用するために適当な大きさであること、ホウ素やリンなどの不純物を微量添加させることにより、p型半導体、n型半導体のいずれにもなることなどから、電子工学上重要な元素である。半導体部品として利用するためには高純度である必要があり、このため精製技術が盛んに研究されてきた。現在、ケイ素は99.9999999999999 % (15N[5]) まで純度を高められる。また、Si(111) 基板はAFMやSTMの標準試料としてよく用いられる。
用途
ケイ素の単結晶
赤外光学系
ケイ素は赤外域(波長2-6 μm)で高い透過率があり、レンズや窓の素材に用いられる。波長4 μmの屈折率は3.4255。
半導体
最も重要な用途としては、四塩化ケイ素やトリクロロシランなどから作られる高純度ケイ素が半導体作成に用いられることが挙げられる。また、液晶ディスプレイの TFT や太陽電池にはアモルファスシリコンや多結晶シリコンなどが用いられる。ヒ化ガリウムや窒化ガリウムなどの化合物半導体の基板にシリコンを用いれば大幅な低価格化が可能であり、様々な研究が進められている。
ケイ素含有合金
電気炉における製鉄材料として鉄1トンあたり4 kg前後のケイ素が添加されるほか、ケイ素合金として製鉄の脱酸素剤に用いられる。そのほかに、ケイ素を混ぜた鋼板(ケイ素鋼板)は、うず電流による損失が少なくなるため、変圧器に使われている。アルミニウム工業の分野でもケイ素の合金が使われている。また、鉛レス黄銅にも添加される。
ケイ素含有セラミックス類
ケイ素の酸化物(シリカ)を原料とするガラスは、窓その他で使われるほか、繊維状にしたグラスウールは断熱材や吸音材としても用途がある。ゼオライトは、イオン交換体、吸着剤あるいは、有機化学工業における触媒ともなっている。シリカゲルとしては、非常に利用しやすい乾燥剤になる。
炭化ケイ素は、耐火材や抵抗体として使われたり、高いモース硬度 (9.5) を持つために、研磨剤として使われる。その他のケイ素化合物として、アルミノケイ酸塩が粘土に含まれ、陶器やセメント・煉瓦などセラミックスと呼ばれる材料の主成分になっているほか、カルシウム化合物を除去する働きから、水の精製に使われるなどしている。
ケイ酸塩・ケイ素樹脂
ケイ酸塩は、さまざまな形で地殻上に存在しており、天然に存在するケイ素化合物のほとんどすべてが二酸化ケイ素およびケイ酸塩である。工業的にも広く用いられ、ガラス、陶磁器など、枚挙に暇がない。アスベストは、繊維状のケイ酸塩鉱物であり、その耐薬品性や耐火性から以前は建材などに広く用いられたが、人体への悪影響が問題になったため、使用量は激減している。日本ではアスベストによる健康被害が社会問題となり、労災� ��定や健康被害を受けた国民に対しての補償問題、また、依然として多く残るアスベストの撤去に対しての問題を抱える。
有機基を有するケイ素二次元および三次元酸化物はシリコーンと呼ばれる。このものは、優れた耐熱性、耐薬品性、低い毒性などの有用な性質を示し、油状のものはワックス、熱媒体、消泡剤などに用いられる。三次元シリコーンはゴム弾性を示し、ゴム状のものはホースやチューブ、樹脂状のものは塗料や絶縁材、接着剤など各種の用途に利用される。
製法
原料
工業用ケイ素の主原料は SiO2 から成る二酸化ケイ素(珪石、珪砂、シリカとも)である。日本国内の埋蔵量は2億トンあるとされるが、アルミニウムと同様、酸化物から還元するには大量の電力を必要とするため、金属シリコンの状態になってから輸入するのが一般的である。電力の安い国が金属シリコンの供給源となるため、これまで中国、ブラジル、ロシア、南アフリカ、ノルウェーなどが主要な供給国であったが、近年はオーストラリア、マレーシア、ベトナムなども注目されているという。
世界の二酸化ケイ素の埋蔵量は極めて潤沢であり、高純度のものも世界に広く分布する。
精製
金属グレード (MG) シリコン
ケイ素の単体はカーボン電極を使用したアーク炉を用いて、二酸化ケイ素を還元して得る。この際、精製されたケイ素は純度99%程度のものである。
SiO2 + C → Si + CO2
SiO2 + 2 C → Si + 2 CO
高純度ポリシリコン
さらに純度を高めるには、塩素と反応させ四塩化ケイ素とし(ガス化)、これを蒸留して純度の高い製品を得る。
Si + 2 Cl2 → SiCl4
SiCl4 + 2 H2 → Si + 4 HCl
半導体グレード (SEG) シリコン
集積回路など半導体素子に使用する超高純度のケイ素(純度 11N 以上)は、上記の高純度シリコンからさらに FZ(フローティングゾーン)法などのゾーンメルティングや Cz(チョクラルスキー)法などの単結晶成長法による析出工程を経ることで製造される。ゾーンメルト法では融解帯に不純物が濃縮する過程を繰り返すことで高純度のケイ素を得る。Cz 法においては偏析を利用して高純度化するため、原料であるポリシリコン(多結晶珪素)には非常に純度の高いものが要求される。半導体に利用するには基本的に結晶欠陥(転位)のない単結晶が必要なので、FZ 法においても Cz 法においても単結晶を回転させながら一旦細くし、転位を外に追い出した段階で結晶の径を大きくすることにより所定の大きさの結晶を得る。FZ 法は大口径化に向かないため、産業用に使用されているシリコンウェーハの大部分は Cz 法によって製造されている。現在製品化されているシリコンウェーハの径は直径300 mmまでである。
太陽電池グレード (SOG) シリコン
太陽電池には SEG グレードほどの超高純度は必要なく、7N 程度の純度で済み、また多結晶でも良い。このため上記の単結晶シリコンインゴットの端材などが原料に利用されてきたが、需要の増大に伴い、専用の太陽電池グレード(ソーラーグレード)シリコンの生産法が開発されている。手順としては上記の半導体グレードの精製工程を簡略化した方法のほか、下記のような手法が用いられる。半導体グレードに比べ、使用するエネルギーやコストが数分の1以下になるとされる手法が多い
・流動床炉 (FBR) 法:種結晶を気流で巻き上げながら、表面にシリコンを析出させる。
・冶金法:金属グレードシリコンから冶金学的手法によって直接ソーラーグレードシリコンを製造する。
・水ガラス化法:珪石 (SiO2) を水ガラス化した状態で高純度化してから還元する。
・NEDO溶融精製法:金属グレードシリコンを電子ビームやプラズマで溶融させて特定の不純物を除いたあと、一方向凝固させる。
ソーラーグレードシリコンは2006年頃には高純度シリコン市場の約半分を占め、今後もその割合は拡大すると見られている[8]。今後はソーラーグレードが高純度シリコン生産量の大部分を占め、半導体級は特殊品になっていくと予測されている[9]。また太陽電池用シリコン原料は2008年までは供給の逼迫で価格が高止まりしていたが、2009年からは価格の低下が予測されている。
- リトグラフ
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おそらく、元々はオフセット印刷で使われていた薬剤なのだと思うのだが、夫れが版画の世界に持込まれたその経緯は確認できていない。商業印刷としてのリトグラフという印刷形態があって、それがオフセット印刷に取って代られたが、基本の原理は同じ平版印刷である。オフセット印刷からの技術が流用され、新しいリトグラフが生れているという事実もある。写真製版や、ウオーターレスリトグラフなど、オフセット印刷の進化に伴ってリトグラフも進化している。というより、本当は分類など不要の話なのだ。様々な刺激を受けながら、版画も変化していく、当り前の話だ。
ただ、少し初心者に分り易くしようとすれば、分類も、単純化も、 夫れは必要なことだろう。リトグラフだけでなく、銅版画も、その様々な手法の名前にまず、幻惑される。それぞれの作家が、表現の方法を広げるために、あるいは深めるために、独自にやり方を試行していくことも作家の務めとも言えるだろう。と、あまり堅い論法は、版画の世界には似合わないかも知れないけれど・・・・・・。
名前の由来については、エッチが、水のことなのだろうかと思ったりするが、違うのかも知れない。
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印刷の基礎知識「オフセット技術教本」(
「pH値について」という項目に、
「水溶液がアルカリ性(例:カセイソーダ)、酸性(例:塩酸、リン酸)を示す値。湿し水の性質はpH値とその成分によって決まり、pH値が小さくなるほど酸性の性質 が強く、大きくなるほどアルカリ性となります。」と、書かれている。
「pH」の「H」が「H水」のネーミングと関係があるのかどうか。
又、「どうして水だけじゃダメなのか?」として、
「水。普通にいう水道水だけでも印刷はできるだろうかと問われれば、答えは「YES」です。」しかしそこに色々問題点があるのだと続けている。
その辺りについては、下記引用の「MAX液」の記述に丁寧な説明がされている。
しかし、エッチ液が、湿し水の効果をより高めるための製品ということは確かと思われる。
湿し水は、「しめしみず」と読む。
以下参照。
エッチ液はリトグラフで印刷をする際、描画部分の線の太りを防ぎ、インクの汚れを防止し、版面の保水効果を高めるために使用する酸性の混合液です。
エッチ液は湿し水に適量(分量はメーカーにより異なります)を加えて使用します。この時に湿し水はph6~ph4ぐらいの酸濃度が最適とされています。市販のエッチ液には数多くの種類がありそれぞれに酸の強度が違うため、使用する際には注意書きをよく読み試してから使用すると良いでしょう。過度に酸性が強いと、紙に酸が移ってしまったり、描画部分の細い線などが消えてしまうことがあるので注意した方が良いでしょう。
エッチ液はリン酸をベースにしているものが多く、水にリン酸、氷酢酸を適量加えることで作ることも可能です。またエッチ 液をアラビアゴム溶液に加え、製版液として使用することもできます。
エッチ液は版画材料を扱っている専門店で買うことができます。
「印刷のツボ」印刷技術情報」
エッチ液の成分は何か
組成は
・酸類…リン酸,クエン酸(インキ乳化防止,画像保護)
・塩基…硝酸塩,リン酸アンモニウム(非画線部の保護)
・親水性高分子…アラビアゴム(版面不感脂化),C.M.C
・その他…海面活性剤,など
しかし、別の解説には、エッチ液の成分について少し異なることが書かれている。
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光栄印刷株式会社「印刷用語マニアックス。」
湿し水【しめしみず】
•2011-05-09 (月) 12:57
オフセット印刷は、刷版上の親水性の部分に水をつけ、親油性の部分にインキをつけることで印刷を行う仕組みだが、この親水性の部分につける水のことを「湿し水」という。
湿し水には、エッチ液という添加剤を入れる。エッチ液は、版の保水性を保つ成分、版のゴミを取り除く成分、また、アルコール(IPA=イソプロピルアルコール)などを含んでいる。アルコールは、版上の細かい部分にまで水が入っていく手助けをさせるためのもの。実験映像で、表面張力で丸くなった水滴にアルコールを垂らすと水滴が平らに拡がるのを見たことがあると思う。これと同じことを湿し水で行い、表面張力を下げることで、細かい部分にまで水を行き渡らせる。
印刷業界は、環境への影響およびオペレーターへの負荷を抑えるため� �、ノンアルコールで印刷を行う方向に進んでいる。ノンアルコールでも問題なく刷れる印刷機が導入され、エッチ液もノンアルコールタイプのものを使うことが増えている。
もう一つ別の所には、また少し異なった説明がされているが、これはどうなのか?
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版画ネット
「版画ネット」は、版画専門誌「版画芸術」を刊行している阿部出版が運営するウェッブサイトです。
エッチ(etch)液
版の汚れ、くもり、線の太りなどを防ぐ役目をする製面液。重クロム酸アンモニア、リン酸アンモニアなどの水溶液。また、アラビアゴムとエッチ液を合わせた働きをするSK液もある。
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「印刷業界ニュース」Pj Web News Printing Jaunal
「湿し水の基礎知識と最近の動向」
光陽化学工業株式会社 開発部 福島利光氏
印刷ジャーナル 2008年2月15日号掲載
「湿し水」とは、平版印刷において親油性の画線部と親水性の非画線部を明確に区別するために版面上での濡れ性向上を目的とし低い動的表面張力、適度なインキ乳化性、印刷版の整面性などの機能を持った希釈済みの循環使用水である。
それに対し「エッチ液」とは、この目的を達成するために、処方された濃縮液で、原水(水道水、地下水)に対し1~5%の濃度で添加される機能製品であり、動的表面張力の調整助剤としてのIPA(イソプロピルアルコール)と併用される場合が多� ��が、近年の環境問題から湿し水における課題としてIPAの削減が大きなテーマとなっている。
オフセット印刷における「給水機構」は、1970年代から連続給水機構へと移行をはじめ、立ち上がりの速さ、給水量の安定性などで印刷品質の向上と高速化を実現し、現在に至っている。開発当初の連続給水機構は、IPAの使用を前提に設計されたものであったが、IPAは労働安全衛生法(有機則)や消防法(危険物)の規制を受ける化合物であり、印刷業界ではその削減要望が高まりをみせ、印刷機械メーカーによる装置上の改善、薬品メーカーによる代替アルコールやノンアルコール追及型湿し水エッチ液の開発が進み、削減効果が現れつつある。
エッチ液の機能と役割
エッチ液の成分はメーカー各社により様々であるが、主に以下の ような配合となっている。
エチレングリコール系やプロピレングリコール系の溶剤が、20~60%含有している。この成分はIPAが持つ機能の一つである動的表面張力を補う役割を果たす。また、インキ乳化調整剤として界面活性剤が、1~5%含まれており、適正乳化を維持するために重要な成分で各メーカーのエッチ液の特徴を左右する成分でもある。
次に、リン酸やクエン酸など、またその塩が1~5%含まれている。これらは、非画線部のインキ汚れ抑制と同時に親水化を維持する機能を併せ持つ。これ以外に一時停止時の版面保護作用などの目的で水溶性樹脂が1~5%、その他として防腐剤、消泡剤、防錆剤が微量配合されている。
(以下省略)
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つぎは、オフセット用のMAX液という、� �モルトン・スリーブ印刷機用スタンダードエッチ液。」を製造されている会社の解説から。モルトン・スリーブ印刷機については、取りあえず、不問にしたい。
オフセット印刷の湿し水をかがくするMAX液
湿し水の基礎知識と管理
湿し水って何ですか?
オフセット印刷の刷版は平面であり、絵柄を構成する画線部と非画線部(白紙の部分)の二つで構成されています。この画線部には油であるインキが着き非画線部には油と反発する水膜が張られます。その油と水の反発作用を利用して印刷するのが平版印刷なのです。
非画線部は親水性であり水棒によって供給された水膜が形成され、油であるインキを寄せ付けません。画線部は親油性であり油であるインキがのります。ところで、この非画線部の水膜ですが通常の水道水だけではその能力に限界があり、オフセット印刷の品質、作業性に大きな影響を与えています。これは水そのものの表面張力による限界です。
エッチ液って何ですか?
エッチ液とは版面に供給される湿し水自体を指す場合もありますが、一般的には湿し水に添加する薬品を言います。エッチ液の主成分は樹脂(アラビアゴム)、溶リン酸・塩酸などの酸(有機・無機)とか、防腐剤、酸化防止剤などです。エッチ液を湿し水に添加することで大幅に印刷能力を引き上げることが可能となるのです。
では、エッチ液に� �められる性能とは何でしょうか?
そしてエッチ液がどのような効果を産出すのでしょうか?
オフセット印刷の水(エッチ液)に求められる能力について、親水性・保水性・修復力があげられます。
親水生
非画線部にインキを着けないことが湿し水の基本的な役割です。その為には湿し水の表面張力を下げ、細かい非画線部にも入り込まなければなりません。こうすることでインキの着いては行けない所を全て水が埋め尽くすのです。表面張力を下げると細かい所にまで良く浸透します。
湿し水の表面張力が高いと画線部との接点で上図のように玉になろうとします。逆に低いと薄く広がり、図のようにインキと水の境界面を鮮明にさせる事ができます。つまり画線部のエッジがシャープになります。また、より少ない湿し水でその機能を果たすことが出来るのです。
保水性
インキが付く前に湿し水が蒸発しては役目が果たせません。乾いた版面にはインキが付着してしまうからです。しばらく版面上で水を� �つ性質(保水性)が要求されます。
修復力
版面は絶えずローラ、ブランケットの摩擦を受けています。更に紙紛やコート剤などで非画線部の親水性層が傷つく事があります。それを修復しながら印刷しなければなりません。
またインキが乳化したり、散ったりと非画線部に汚れが付着することがありますが、汚れ出した版を洗浄しながら印刷できなければなりません。そのままだと、地汚れに発展します。
以上の事が、湿し水の基本的役割となりますが、その他、版面やインキの温度調節、インキのセット性、水上がり性、アルコールの使用量を減らせる、水を絞れるなど様々な付加価値が要求されます。
湿し水の管理について
湿し水を適性に管理する事で、印刷の品質向上が狙えます。
エッチ液の性能を引き 出し、水を絞ることでアミ点レベルでインキの濃度が上がり、少ないインキ量で必要な色を出せるようになります。濃度が上がれば盛り幅も自由自在です。
連続給水システムではエッチ液の性能によりIPA(アルコール)の添加量を少なくすることが出来れば、アミ点中のす抜けが減り、アミ点やベタのインキ濃度が上がります。
その為、インキの盛り幅も広く取れるようになります。またアミ点のフリンジやベタ線のエッジもきれいに出ます。アミ点の抜けも良くなり、コントラストのついた、鮮明な印刷へとなります。
これは高品質の印刷製品の重要な要素です。
このように、湿し水を適正に管理する事で印刷品質のアップが可能となります。しかし、機上では常に変化する条件を持ち合わせています。これも� �刷の特徴です。
高次元での印刷を維持する為には、その条件を安定させる為の知識とコントロールが必要になってきます。その中に湿し水のコントロールも重要な位置を占めていることは上記の説明でもご理解いただけると思います。ところが、版面上の水は肉眼ではあまりよく見えないのが普通です。(水の温度、エッチ液やIPAの濃度、更には不純物等)
見えにくい水膜を正確にコントロールする事は至難の技のように思われます。事実このバランスを欠くと多くの問題を発生する事になります。例えば、湿し水の量が多いとインキのトラッピングに影響が出てきます。更にセット不良や乳化といった現象まで引き起こします。
エッチ液の特徴を理解し、適正な方法でご使用いただくことに勤めてください。エッチ液 の濃度、IPAとのバランス、水温の設定など複合的な要素が絡んできます。
(以下省略)
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以上の「湿し水」記事の一部に、下記サイトの情報を一部参照させていただいた。
紙への道
【紙の基礎講座(パート2)[印刷編]・・・印刷トラブルと紙への対応】⑪
なお、以上の文面の内容に、後日書加えた部分がある。
- リトグラフ
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先の日曜日には、奈良をウォーキングしてきた。
近鉄南生駒駅から、尼ヶ辻駅まで。
暫く山道を歩いて、田圃道に出て、富雄川を渡りその後、住宅地の中の道を彷徨う。
偶然、薬師寺の塔が目に入ってきて、予定より南側を歩いてきたことに気づく。
それではと、薬師寺とその北側の唐招提寺を、参拝した。
薬師寺では、平山郁夫の彩色指導という仁王が迎えてくれた。
右手の古びた東塔、左手の色鮮やかな西塔が対照的である。
東塔は解体修理の為、来年の3月からはクリスト状態になるらしい。
唐招提寺は鑑真和上の像を見たかったが、6月だけの限定拝観らしい。残念。
薬師寺と唐招提寺の中間に「蕎麦切りよしむら」という店があって、喫茶をする。
コー� ��ーと美味しい自家製のアイスをいただく。
先日、梅田大丸7階「カカオサンパカ」で頂いたアイス「ジャラッツ ショコラ タ カカオ」
も美味しかったが、ここの味は、ずっと素朴な美味しさであった。
添えられた庭で摘んだというジューンベリーの実が甘酸っぱい。
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第2次世界大戦で誰がfaught
で、リトグラフの材料の続き。
アラビアゴムと、いわゆる天然ゴムとは、全く異ったものである。
異なった樹木であり、材質であり、用途も異なったものである。
但し、元々古くはアラビアゴムなどを、ゴムと呼んでいたらしい。
新大陸で見つかった「ゴム」によく似た性質のものを、ゴムと呼ぶようになり、
産業的にそちらの方が次第に重要なものとなっていく過程で、今では普通、
その弾性ゴムの事を「ゴム」と呼ぶようになった。
ゴム
出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』
ゴム (蘭: gom)は、元来は植物体を傷つけるなどして得られる無定形かつ軟質の高分子物質のことである。だが現在では、後述の天然ゴムや合成ゴムのような有機高分子を主成分とする一連の弾性材料すなわち弾性ゴムを指すことが多い。これらの材料はある温度範囲で、ゴム弾性を持つゴム状態となる。漢字では「護謨」と書き、この字はゴム関連の会社名などに使われることが多い。エラストマーの一種であり、エラストマーはゴムと熱可塑性エラストマーの二つに分けられる。
由来
古代や中世においては、今日の英語で gum、フランス語で gomme、ドイツ語で Gummi などと一群の欧州言語で表記される物質は、アルコールには不溶だが、水を含ませると著しく膨潤してゲル状になり、種類によってはさらに水を加えると粘質のコロイド溶液となる植物由来の物質を指しており、主として多糖類から構成されている。
逆に、水には不溶だがアルコールには溶ける植物由来の無定形の樹脂はレジン (英語: resin) と呼ばれる。
こうしたゴムの代表がアラビアゴムであり、また似たものにトラガカントゴムやグアーガムがある。近代の発酵工業によって新たに登場した類似物質として、キサンタンガムが知られる。これらは食品の粘度を調整したり(増粘多糖類)、接着剤、あるいは水彩絵具の基質として用いられてきた。
これらは弾性ゴムが一般的となってからは水溶性ゴムと呼ばれている。
16世紀になってヨーロッパ人が中南米の文化や自然産物と接触するようになってから、彼らが古くから知っていたゴム(ガム)に似ているが、それらにはない新しい性質を持った植物由来の物質がヨーロッパ社会に知られるようになり、また導入され、古くから知られていたゴム(ガム)と同じ範疇の物質としてゴム(ガム)と呼ばれた。
こ れらは植物体に含まれる乳液(ラテックス)を採取し、凝固させることによって得られるものであった。その中のひとつはチクルの幹から得られ、人間の体温程度の温度で軟化するもので、噛む嗜好品として用いられていた。このゴム(ガム)に関しては、チューインガムを参照されたい。
もうひとつ、パラゴムノキの幹から採取されるラテックスを凝固させたものは著しい弾性を持ち、後世ヨーロッパで産業用の新素材として近代工業に欠かせない素材として受容され、発展することとなった。
そのため、パラゴムノキ以外の植物からの同様の性質のゴムが探索され、また同様の性質を持つ高分子化合物の化学合成も模索されることとなった。この一群のゴムを弾性ゴムと呼び、イギリスの科学者ジョゼフ・プリーストリーが� �筆の字をこすって (英: rub) 消すのに適することを報告したこと(消しゴムの発祥)から、英語ではこするものを意味するラバー (rubber) とも呼ばれることとなった。
さらに天然のゴム類似物質としてガタパーチャ(グッタペルカ)がある。
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社団法人 日本ゴム協会「日本ゴム協会誌 」豆 知 識 ③
ゴムとラバーはどう違う?(ゴムという言葉の由来)
日本語でゴムという言葉は大きく次の3種の材料を表します.
1.通常は,弾性ゴムつまりゴム製品およびその原料ゴムをさします.
2.ガムシロップのような高分子多糖類.水に溶けますがアルコールには不溶です.食べ物の増粘剤や糊などに使われます.切手の裏糊の原料であるアラビアゴム(Arabic gum)が有名です.
3.チューインガムのベースとなるガムでチクルがよく知られています.この種のガムは水に不溶でアルコールに可溶です
.英語では1.をラバー(rubber),2.と3.をガム(gum)といいます.
Rubber は1770 年イギリスの科学者J.プリーストリが生ゴムでこする(rub)と鉛筆書きの字を消すことができる,と報告したことに発するとされています.弾性ゴムを表すドイツ語Kautsuhuk,およびフランス語caoutchouc は,アマゾン流域でのcaa(木)とo - chu(涙を流す)という語に由来しています.
歴史上日本に最初に登場するのはアラビアゴムで,これは生薬としてすでに1631 年には市販されていた記録があるそうです.gum がゴムと発音されたのでしょう.
最初に輸入された弾性ゴムは1845 年の正月にペリーが将軍に献上した品物の一つである電線の被服材とされています.
この時,弾性ゴムはアラビアゴムと同じ仲間であるという誤った考えがあったため,どちらもゴムと表現してしまったというわけです.
(東海ゴム工業㈱ 長野悦子)
と、いう訳で、長野さんの言い方が正しいのか、どうか。
とりあえず「アラビアゴム」について。
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武蔵野美術大学造形ファイル
アラビアゴム
アラビアゴムは、リトグラフで使用するアラビアゴム溶液や製版液の原料となる天然樹脂です。水彩絵具の展色剤(バインダー)としても使われています。
アラビアゴムはアカシア属植物の樹皮の傷口から分泌されるアラビン酸を主原料と� �る樹脂を乾燥させたもので、これを同量か1.5倍の水または温水で溶かしアラビアゴム溶液を作ります。固形のアラビアゴムを使用する時には、布で漉してゴミを取り除いておく必要があります。濃度は使用目的により多少差はありますが、比重値では12~14ボーメにすると良いでしょう。また、石版画で使用する際にはアルミ版で使用するときよりもやや濃く作っておく必要があります。
水で溶かしたアラビアゴム溶液は版面に塗布すると脂肪分を感じなくさせる働きを持っており、マージン(マルジュ)部分のマスキングや、描画部分の白く抜きたい部分に塗布したり、版を保存する場合にも使用します。
また、アラビアゴム溶液にリン酸、氷酢酸を加えることにより、アルミ版用の製版液を作ることができます。石版画で使用� �る場合には硝酸を2%程加え硝酸ゴム液を作り製版に使用します。
固形、粉末状のアラビアゴムは版画用品を取り扱っている画材店等で購入することができます。
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アラビアガム
出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』
アラビアゴムノキ
界 植物界 Plantae
門 被子植物門 Magnoliophyta
綱 双子葉植物綱 Magnoliopsida
目 マメ目 Fabales
科 ネムノキ科 Mimosaceae
属 アカシア属 Acacia
種 アラビアゴムノキ A. senegal
学名 Acacia senegal Willdenow
和名 アラビアゴムノキ
アラビアガム
アラビアガム(gum arabic)あるいはアラビアゴムあるいはアカシア樹脂は、アフリカ、ナイル地方原産のネムノキ科(分類体系によってはマメ科とする)アカシア属アラビアゴムノキ(学名:Acacia senegal)、またはその同属近縁植物の樹皮の傷口からの分泌物を乾燥させたもの。吸水するとゼラチン様に膨潤する。
A. senegal 以外では、ソマリランドの A. abysinica、 A. glaucophylla、ナイル地方の A. giraffae、コルドバ地方の A. reficiens、A. fistula から色の淡い良品が採取される。自然に生じた樹皮の傷口からも得られるが、効率よく採取するためには雨季が終了する2月から5月にかけて樹皮に切り付けを行う。
用途等
乾燥品は不規則な粒状や塊状で良品は淡黄色。劣等品は褐色や赤色に着色する。水に対する溶解性が高く、水溶液は強い粘性を示し、良好な乳化安定性を示すため、食品添加物のうち、乳化剤や安定剤として飲料や食品に広く用いられている。身近なところではアイスクリームなどの菓子類や、ガムシロップが典型的な用途である。また医薬品の錠剤のコーティング剤や、絵具、インクなどの工業製品にも用いられている。特に水彩絵具の固着材はアラビアガムである。
乾燥時にべたつかず、わずかな水分で速やかに粘性を示すので、切手の接着面の糊にも使用されている。以前は植物標本を台紙に固定するテープの糊にもよく使われたが、今日では博物館や植物園のように大量に使用する施設では熱固定式の合成接着剤に移行し� ��いる。ダニや微小昆虫を半永久プレパラートにするときに用いるガム・クロラール液やホイヤー液などのガム・クロラール系封入剤は、アラビアガムと抱水クロラールを主成分とする。
主産地はスーダン、チャド、ナイジェリア、セネガル、マリ、ケニアなど。
弾性ゴムがイソプレンの重合した炭化水素から成るのに対し、アラビアゴムの主成分は多糖類であり、アラビノガラクタン(75-94%)、アラビノガラクタン-プロテイン(5-20%)、糖タンパク質(1-5%)の混合物である。細胞壁を構成するヘミセルロースとはカルボキシル基が遊離している点が異なり、通常カルシウム塩となっている
日本ではアカシアといえば同じマメ科でも比較的縁の遠いニセアカシアが一般的であり、真のアカシア属の植物は日本ではあまり� ��般的ではないが、関東以南にしばしば植栽されるフサアカシア(ミモザ)の樹皮を降雨時に観察すると、傷のある部分に水を吸って褐色のゼリー状に膨潤したアラビアゴムを見ることができる。
同じアカシア属から得られるが産地が異なるため別の名称で呼ばれるものに、インドのインドアカシアゴム、東アフリカの東アフリカゴム、オーストラリアのワットルゴム(オーストラリアゴム)がある。
また、アカシア属以外にもアラビアゴムとよく似た多糖類質の分泌物を樹皮の傷から分泌する樹木がいくつか知られている。地中海東部地方に自生するゲンゲ(レンゲ)と同属のマメ科低木Astragalus gummiferから得られるものはトラガントゴム(タラカントゴム、トラガカントゴム, Gum Tragacanth)と呼ばれ、アラビアゴムとほぼ同じ用途に供される。
一昔前に微小昆虫の標本作製に際して台紙貼り付けに用いられる接着剤といえばトラガントゴムが定番であった。他にもバラ科のPrunus属のサクラやモモの樹皮や若い果実に傷がつくと、アラビアゴムとよく似た多糖類質の分泌物が流出する。これはサクラゴムと呼ばれ、フランスやドイツでは更紗の染色用に用いられており、またアフガニスタンでは食用とされる。
外部リンク
アラビアガム(アカシアガム、アカシア) - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
「
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画材ナビ
画材教室第3室絵の具の周辺材料・展色材
アラビアゴム(アラビアガム)(gum alabic)
形 状
アラビアガムは、水彩絵具のバインダーとして使用される。アカシア科の植物から淡褐色の球塊として採取される天然樹脂のひとつ。
工業的には、採取した形のままの玉状アラビアガムが用いられます。
化学組成 アラビン(約80%)
原産国 スーダン
アフリカのスーダン、コードファン地方にのみ生育するアカシア科の植物から採取される天然樹脂で、アラビン酸を主成分としています。
乾季の11月頃と3月頃に幹や枝に傷をつけ、1週間ほどして滲出、固化したものをもぎ取ります。
スーダンの気候、特に雨季と乾季のバランスにより、色や形がさまざまに変わります。
一般にHPの次の「KC」クラスのアラビアゴムでは、溶液の色が暗色になるので絵具には使いにくいでしょう。
用 途
アラビアゴムは、古くから色素を定着するバインダーとして使われてきました。
現在の透明水彩、および不透明水彩のバインダーに用いられています。
アラビアゴムは、水彩絵具の他にも、キャンデーの製造やソフトドリンクの乳化剤として食品関係に使われたり医薬品の糖衣錠やシロップに使われたり、比較的身近な材料です。
濃度35%前後のアラビアガムバインダーは透明水彩の製造に使われるだけでなく、水彩絵具により透明性を与える効果や水彩作品に光沢を与えるメディウムとしての役割にも用いられます。また、3%程度の溶液を作り、筆を洗った後のまとまりを良くするための固着剤としても利用できます。
製品種類 画材店で販売されているアラビアガムは、高品質の「HP」クラスです。溶けやすい粉末状やザラメ状が普通です。専門家用水彩にはHPグレードのみが使われます。
製品は粉末化し精製してあるものと、ザラメ状のものがある。
#28プラ容器 10 g 200円
#100ビニール袋 80 g 400円
1kgビニール袋 1000 g 4000円
関連製品 透明水彩絵具メディウム
アラビアガム35%と保湿剤などを加えた透明水彩を作るためのバインダーです。
不透明水彩絵具メディウム
アラビアガム10%と保湿剤などを加えた透明水彩を作るためのバインダーです。
アラビアガム バインダーの作り方
水彩絵具では、アラビアゴムのバインダー濃度によって透明にも不透明にもなります。
1.アラビアガム、グリセリン、水を計量します。
絵具の透明性により表の数値を参考にしてください。
(100gのバインダーの場合)
2.容器に50℃に温めた水を規定量取ります。
容器に沸騰させた蒸留水(または精製水)を一定量計り取り、撹拌しながら計量済のアラビアガム粉末を少しずつ加えていく。完全に溶かし込んだら約1日放置する。
3.かき混ぜながら、少量ずつアラビアゴムを温水中に加え、ダマができないように溶かし込みます。
沈殿物は傾斜濾過により分離し、上澄みだけを使用する。
4.ガーゼまたはストッキングで濾過し、グリセリンを加え溶解します。
5.静置した後、上澄みを水彩のバインダーとして使用します。
長期保存は、防腐剤を2、3滴加えた後、ガラス瓶に入れて密栓しておきます。
*アラビアガム濃度により水彩絵具の透明性・発色が変わる。
*グリセリンは絵具層に柔軟性を与えるとともに、絵具の水とのなじみを改善する保湿剤の役目をします。長期保存のためには、微量のホルマリンやβ-ナフトール等を加えておくとよい。
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絵の具の図書館 絵の具コーナー
水彩絵の具のメデュームに最適な材料をご存知ですか。
水彩絵の具は、古くから使われてきたゴムテンペラが、その起源です。中世にはアラビアゴムを使った作品が数多く制作されています。
広い意味ではガッシュ(不透明水彩)、日本画、墨絵も水彩といえますが一般的には水彩というと透明水彩絵の具のことを指します。透明水彩絵の具は、異なった色を重ね塗りしたとき下の色が透けてみえることが特長で紙の白さを生かし、明るさと輝きを表現します。この特長を最大限に引きだす糊がアラビアゴムです。
1779年、吸湿性の物質グリセリンが発明されますと、アラビヤゴムとこのグリセリンを混合したメデュームが開発され、水彩絵の具が保存のできるものになり急速に発達します。
水� �絵の具は、明治時代前半にイギリス人により日本に伝えられました。水彩絵の具は乾燥が早く、水で溶かして簡単に使える便利さから、さも多く使われている絵の具です。
透明水彩絵の具は、水で薄めたときの色の美しさと、紙へのやわらかな接着をとくに留意して作られています。この絵の具の糊には、古くから使われてきたアラビアゴムが理想的で、今のところこれに変わる糊はありません。
アラビアゴムは水に良く溶け、紙への接着性がとても良く、色彩に光沢と輝きをあたえます。専門家用の透明水彩絵の具にはほとんど、この糊が使われています。
この糊は天然産品で、西アフリカのスーダン、ナイジェリヤ、タンザニヤ、セネガルが主な産地で、アカシアの木の一種、「アラビアゴムの木」の樹液です。木の幹 にナタで傷をつけると、透明でやや黄みをおびた球状の樹液がでます。この樹液の固まったものがアラビアゴムで、透明のものほど上質です。
この樹液は天然産品でありながら腐敗が少なく、不純物を除き精製したものは日本局方としての医薬品や食品に使われています。
アラビアゴムの利用分野
ソフトドリンク、
ワイン、ビール、
その他食料品・飲料
キャンディー
キャラメル
チューインガム他
水彩絵の具
リトグラフ、インキ、
花火、火薬他
製薬
シロップ
その他
【資料提供研光通商株式会社】
一方、「学童用不透明水彩絵の具」とよばれる絵の具は、低価格にするために、メデュームとして価格の高いアラビアゴムは用いず澱粉系の糊、デキストリンを使っています。この糊 はアラビアゴムの1/10~1/20以下と安く、安価な絵の具ができます。しかし、澱粉には繊維の帯があり絵の具の伸びを阻害します。デキストリンはこの繊維を細かく切断したものですが、水での溶けやすさや色の伸びはアラビアゴムに比べると、はるかに劣ります。
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夜明け前The voorlihter
身のまわりから自然科学&函館の話
2011年6月 9日 (木)
アラビアゴム
アラビアゴムはアフリカ原産のアカシア属アラビアゴムノキから採取される天然樹脂です。アラビアゴムの主成分はアラビン酸という多糖類です。炭化水素のイソプレンを主成分とする天然ゴムとはまったく異なる物質です。
アラビアゴムは水に良く溶け、その水溶液は強い粘性をもちます。そのため、古くから接着剤として使われました。紀元前の古代エジプトではミイラの包帯の接着剤としても使われました。
また、アラビアゴムは界面活性の働きがあるため、食品添加物の乳化剤や安定剤として使われています。身近なものとしては甘味料のガム・シロップに使われています。アラビアゴムは絵具、インクなどにも使われています。
神からの贈り物か、スーダン産「アラビアガム」めぐる駆け引� �
APP BB News 地球人になろう!国際ニュースコミュニティ
http://www.afpbb.com/article/economy/2508552/3234950
【8月18日 AFP】(写真追加)米国にテロ支援国家と名指しされて経済制裁を受けているスーダンにとって、主要産物であるアラビアガムは、神からの贈り物であると同時に、グローバル化を象徴するものでもある。
アカシア属のアラビアゴムノキの分泌物を乾燥させたアラビアガムは、聖書やイスラム教の聖典コーランにも出てくる。イスラエルの民がエジプトを脱出してシナイ砂漠で飢えに苦しんでいた時、天から降ってきたとされる食べ物だ。地元では、「アラー(神)がアダムとイヴを楽園から(スーダン西部の)ダルフールに追放し、飢えないように天からの食べ物、マンナ(manna)を与えた」と言われている。
アラビアゴムノキは、西はセネガル、東はソマリアまでのサハラ地帯に生育する。中でもスーダンは、世界のアラ ビアガム消費量の半分以上を産出する。スーダン、チャド、ナイジェリアの3か国だけで世界のアラビアガム輸出高6万トンの95%を産出しており、これら3か国は石油輸出国機構(OPEC)のようなカルテルを形成したいと考えている。
■古代から現代まで幅広い利用範囲
古代エジプト人たちは、ミイラの包帯を留めるためののりにアラビアガムを使用していた。英仏は植民地時代、繊維、塗料、インク、菓子の原料として、あるいは切手ののりとして、アラビアガムの入手に躍起になっていた。
アラビアガムは今日、ヘアジェル、チューインガム、そしてコカコーラなどのソフトドリンクに使用されている。
■アラビアガムをめぐる米国との駆け引き
1993年にスーダンをテロ支援国家に指定し、1997年から経済制 裁を続けている米国だが、米国企業は同国からのアラビアガムの輸入を継続している。マシュマロやM&Mなどアラビアガムを使用する菓子のメーカーは、安価な化学薬品などによる代替を試みているが成功していない。
だが、コカコーラが2002年、ナイジェリアにアラビアガム加工工場を開設するなど、スーダン依存から脱却する動きが広がっている。
前年5月、米政府は対スーダン制裁強化を発表。スーダン政府はこれに反発し、アラビアガムの輸出を停止すると脅した。
スーダン森林委員会のAbdelazim Mirghani委員長は、「アラビアガムを禁輸すると、貧しい零細農家の生活を直撃する」と懸念している。(c)AFP
スーダンの首都ハルツーム(Khartoum)郊外のアラビアガム製造工場で、
アラビアガムを見せる作業員(2008年6月24日撮影)。(c)AFP/KHALED DESOUKI
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(11/19追記)
スーダンの現状については、以下を参照。
COCON RESERCH 「現在史評論」
南スーダン共和国の誕生、
資源・部族対立の新たな定型問題(2011年7月)
7月9日、スーダン南部がスーダンから独立し「南スーダン共和国」が誕生した。初代大統領に、サルバ・キール・マヤルディが就任。キールは、ジョン・ガランが事故死したあとのスーダン人民解放軍(SPLA)を率い、2005年1月の南北包括和平協定(CPA)成立後にスーダン南部自治政府大統領を務めた人物だ。アフリカでの独立国誕生は1993年のエリトリア以来で、アフリカ大陸では54番目の独立国となる。7月14日に国連総会で加盟が承認され、193番目の加盟国となった。
南スーダンは面積60万平方キロ、人口850万人で、今年1月にスーダン南部10州で独立を問う住民投票を実� �し、98.8%が賛成票を投じた。ただし、石油資源をかかえるアビエイ地区に関しては、スーダン政府は南部が主張してきた住民帰属投票の権利を認めつつ、投票は先送りした。南部はとりあえず「独立」という果実をとり、北部は「患部」を分離しても資源地帯だけは手放さない、という両者妥協の産物であり、本質的に解決困難な問題を抱えたままの船出となった。
スーダンは、もともとの面積が250万平方キロもあり、アフリカ大陸で最大の国土であったが、南スーダンの分離独立によって190万平方キロに減り、アルジェリア、コンゴ民主共和国に次いでアフリカ大陸で3番目となった。人口でもアルジェリアに抜かれ、9番目だ。民族構成は、北部のアラブ系イスラム教徒と南部のナイロート系キリスト教徒に大� �され、今回の南部10州の分離独立によって、北部はアラブ系イスラム国家として純化度が高まったと言える。しかし南スーダンは、ナイロート系黒人の農牧畜民でキリスト教徒が多数派になるとは言え、部族宗教も根強く、部族間の対立意識や部族内の対抗もあって、まっとうな国家として自立していけるのかどうか、スーダンとの関係も含めて不安要素が多々ある。
ブルージンジャー下の滝
南スーダンの主要部族はディンカ族、シルック族、ヌエル族などだ。いずれも農牧畜を主生業としているが、ディンカ族とシルック族はキリスト教徒が多く、ヌエル族は未改宗の部族宗教が多い。歴史的には、エジプト以南のナイル川上流地域に住む黒人をローマ人は「ヌビア」と呼んだが、今もその呼称を受け継いでいるのがヌエル族やリーフェンシュタールのルポで有名になったヌバ族などの未改宗部族なのであろう。
しかし、南スーダンがキリスト教化されたのは古い。ソロモンの末裔を自認するエチオピアのアクスム王国がアレクサンドリアからキリスト教を受容したのが332年である。当時ヌビア人は上ナイルでメロエ王国を築いていたが、36� ��年にアクスム王国の攻撃を受けて滅ぼされ、最初の改宗圧力にさらされた。その後ヌビア人は、6世紀なかばごろにナイル川流域でノバティア、マクリア、アルワの三つの国を建設するが、このころからローマ帝国によって異端とされたエジプトのコプト教会が活路をもとめて帝国外への布教活動に傾注、地理的に近いスーダンはまっさきにその対象となった。
イスラム勢力のスーダンへの侵出は642年に始まるが、ヌビア人は激しく抵抗したあと、「奴隷の供与」を条件に停戦し、征服されるのをまぬがれた。イスラム教ではイスラム教徒を奴隷にすることはできないので、一種、相互相持のような関係が成立し、以後、千年以上にわたり、スーダンはイスラム世界にとって重要な奴隷供給源となった。エジプトのマムルーク� ��奴隷)朝もスーダン出身の黒人奴隷が主勢力となったものである。一方で、イスラム勢力の侵出に激しく抵抗したアクスム王国は、エジプトや南インドとの交易ルートを絶たれ、しだいに衰退してエジプト高原に押しこめられ、ナイル流域への影響力も失っていった。
17世紀の末ごろ、シルック族の首長トコットが白ナイル流域で勢力を伸ばし、ディンカ族やヌエル族など周辺部族を撃退してシルック国を建設したとされる。このあたりは、無文字社会の歴史でもあり、年代的にはかなりアバウトである。王都はファッショダ(現在のゴトク)におかれた。
ファッショダは、19世紀末の英仏植民地獲得競争時代に起きた椿事とでも言うべき「ファッショダ事件」で有名である。エジプトから南アフリカまで、アフリカ大 陸を南北に貫く勢力圏を構築しようとしたイギリスと、北アフリカから西アフリカに至る勢力圏拡張を目指すフランスが、当時、勢力空白圏にあったスーダン奥部で衝突した、と国際的緊張を走らせた一大事件である。実際のところは、エジプト軍を率いてナイル川を遡上したイギリス隊と、コンゴ川上流から分水嶺を超えて上ナイルに入りナイル川を下ってきたフランス隊が、およそ西欧文明とは隔絶したのどかなファッショダで苦難のすえに奇遇・邂逅したことに歓喜・抱擁しあい、酒を酌み交わして歓談しながら、互いに本国の指示を待っただけの「事件」である。
ロンドンとパリとの交渉の結果、南スーダンはイギリス・エジプトの共同支配下におかれた。イギリス人は得意の「間接統治」政策を採用し、キリスト教圏のス ーダン南部に「南部政策」を導入、北緯8度と10度を緩衝地帯として南北間の移動を禁じた。名目は「マラリアの予防」だったが、キリスト教圏へのイスラム教徒の流入を遮断し、首長制部族社会を利用した間接統治をおこなったのである。
第二次世界大戦後、スーダン南部は、そのまま単独で独立する途もあったのだろうが、中東戦争でイギリスとの関係が悪化したエジプトが大アラブ主義を指向し、スーダンの早期独立を画策したため、南スーダンも北と一緒の早期独立に追随した。結果、ブラックアフリカ諸国の独立は1960年まで待たねばならなかったが、スーダンは一足早く1956年に独立を達成した。スーダン南部の黒人指導者らは、他のブラックアフリカよりも一足早く独立の美酒を味わったというわけである 。
しかし南スーダンの指導者は、独立まもなく北主導の政府がアラブ連盟への加盟を決定したことにより、美酒ではなく苦酒を味あわされたと痛感し、南部独立に向けて動きだした。1963年に南部で武装集団アニャニャが組織され、分離独立武装闘争がスタート。ヌメイリが1969年にクーデターでスーダンの政権を奪取したあと、スーダン南部の自治を認め、いったん小康状態となったが、83年に豹変して南部3分割を決定し、イスラム法の名目で刑法を改悪。これを期に、スーダン人民解放軍や、スーダン人民解放運動(SPLM)の活動が活発化。1989年にバシルが軍事クーデターでスーダンの政権を奪取し、イスラム原理主義政策へ傾倒したことで一気に内戦に発展した。一説に、1994年までに136万人以� ��が死亡したという。
SPLAを率いたジョン・ガランはディンカ族で、あとを継いだキールも別の氏族のディンカ族である。ディンカ族は、歴史的にシルック族に支配されたり、ヌエル族の移動によって白ナイル東岸の故地を追われたりと、かなり劣勢を強いられた農牧畜民であるが、現在の南スーダンでは、人口100万人ほどで、ヌエル族の30万人、シルック族の10万人よりもはるかに多く、南スーダンでの多数派国民の位置づけとなる。ただし、どの部族も父系リネッジ構造による氏族間の競争・対立など複雑な関係を内包しており、部族間だけでなくソマリアのような部族内での骨肉食め合う対立が生じる可能性もある。宙に浮いたアビエイ地区の帰属問題もあり、99%ちかい住民「総意」による独立とは言え、と� ��ていバラ色の未来が広がっているとは思えない。
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リーフェンシュタールの写真集で有名になったヌバ族が、この地域の部族であり、
現在のヌバ族は、既にリーフェンシュタールの撮影した裸のヌバ族ではないこと、
ヌバ族とヌビアとの関連、分離戦争にかり出されたヌバ族の話、そもそもなぜヌバ族が、
ヌバ山地の入組んだ谷間に、100種類もの言語に分れた民族として暮していたのかなど、
興味はなかなか尽きないが、このブログの目的からは、いたく離れた物語である。
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秋というのはこんな天気の日が秋なのだと思う。
昨年の秋は秋ではなかった。
何か自然が引戻されたかのようである。
あの大いなる力の波が、人々を痛めつけて遠ざかっていった後に、
セシウムの見えない粒子がこの国を包込んでいるというのに、
秋は、その本来の姿をまるで、
ここ数年の暑い秋を嘲笑うように、
天高く見せつけている。
タルクについても調べてみた。
お馴染み、「ウィキペディア」。
「日本タルク株式会社」は、タルクを製造加工されている会社。
「魔石の部屋」は、石のパワーについてのサイト。
「鉱物たちの庭」は、鉱物と人間との関わり合いを綴っているサイト。
ほとんど同じ事の言換えのような、しかし少し� ��つ目線が異なっていて面白い。
さすがに、リトグラフの製版などに用いられるなどという、文言は、見あたらない。
滑石(タルク)
出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』
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滑石(かっせき)は、珪酸塩鉱物の一種、あるいはこの鉱物を主成分とする岩石の名称。
滑石(鉱物)
分類 ケイ酸塩鉱物
化学式 Mg3Si4O10(OH)2
結晶系 単斜晶系・三斜晶系
へき開 一方向に完全
モース硬度 1
光沢 真珠光沢
色 白色、淡緑色
条痕 白色
比重 2.7
滑石(かっせき、talc、タルク)は、水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、粘土鉱物の一種である。
組成式は Mg3Si4O10(OH)2 である。蛇紋石(Mg3Si2O5(OH)4)が熱水変質、あるいは苦灰石(CaMg(CO3)2)が接触変成してできる。
2Mg3Si2O5(OH)4 + 3CO2 → Mg3Si4O10(OH)2 + 3MgCO3 + 3H2O
3CaMg(CO3)2 + 4SiO2 + H2O → Mg3Si4O10(OH)2 + 3CaCO3 + 3CO2
色は一般に白でろうそくの蝋や真珠のような光沢を持っているために、これを主成分とする岩石(後述)はろう石と呼ばれることもある。微細な薄片状の結晶が集合し、固まっている産状を呈することが多く、大きな単結晶状態で産出することはまれである。不純物により灰色や緑色をしたものもある。
滑石はモース硬度1の基準となる標準物質で、鉱物の中で最もやわらかいもののひとつである。爪で傷つけることもできる(爪の硬度は2.5度)。純粋なものは安定した硬度を示すが、不純物が含まれる場合は硬度が高くなる。
用途としては、粉末にして黒板用のチョーク、玩具、工事現場などでのマーキング用、ベビーパウダーなど化粧品類、医薬品や上質紙の混ぜ物などがある。ベビーパウダーをタルカムパウダーと呼ぶ� �があるのは、滑石の英語名 talc に由来する。
低品質のものは、アスベストを含有することがあるので不用意に吸入したりすることのないよう注意が必要である。一般的には北イタリア産のものが上質とされている。
利尿作用、消炎作用があるとされ、猪苓湯(ちょれいとう)、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)などの漢方薬に配合される。 海外においては悪性胸水患者に対する胸膜癒着術に用いられる。日本においても、医薬品としての承認を目指して医師主導治験が行われている。
滑石(岩石)
滑石(かっせき)は、輝石、角閃石、カンラン石といったマグネシウムのケイ酸塩を主成分とする鉱物から成る岩石が熱水変成して生じる変成岩であり、前述の鉱物を主成分とし、他の鉱物と混ざった状態で産出することが多い。。
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日本タルク株式会社
タルク(Talc)とは
タルク(Talc)とは、滑石という鉱石を微粉砕した無機粉末で、白色及び灰色をした滑らかでしかも脂肪感に富んだ素材です。
一般には石筆や玩具などで"蝋石"と呼ばれ親しまれてきたものです。タルクは専門的には化学名:含水珪酸マグネシウム[Mg3Si4O10(OH)2]で、SiO2約60%、MgO約30%と結晶水4.8%が主成分です。
物理的な性質としては、真比重2.7~2.8、無機鉱物中、最も硬度が低く(モース硬度1)耐熱性に優れ、しかも化学的に安定した物質であることから、配合充填材(Filler)として多くの分野で幅広く使用されています。
タルクの主な用途
紙・パルプ � � 填料・ピッチコントロール剤・塗工剤
プラスチック : 剛性の向上・耐熱性の向上・成型時の寸法安定性の向上・電気絶縁性の向上
艶消し用・燃焼熱の低減
塗 料 : 塗料の体質顔料・粉体塗料・たれ防止剤
ゴ ム : 電気絶縁性の向上・耐熱性向上と補強剤・離型剤
医 薬 品 : 錠剤の賦形剤
化 粧 品 : パンケーキ(ファンデーション)・ボディーパウダー・アイシャドウ・口紅
セラミックス : 陶磁器の釉薬・陶磁器のさや・ステアタイト磁器用
農薬・肥料 : 農薬のキャリヤー・肥料の固結防止剤
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魔石の部屋
タルク 和名:滑石
別名:その他の呼び名『ソープストーン』『ステアタイト� �
柔らかい石であり加工が簡単な為、彫刻石材と利用される石です。
通常は白色が多いですが、写真は可愛いピンク色になります。
(写真はカット)
その他にも、現在でも食材として利用され甘みがあり
食品の中に混ぜられお菓子など材料として使用されたそうです。
混ぜると食品が柔らかくなったり、味がまろやかになったり、また医薬的効果もあるとされ昔は食品の分量のかさを増すのにも使用されていたようです。
また、女性の方はご存知の方もいると思いますが、化粧品にもよく使用されています。古くからおしろいやメイクアップの際の下地に使用されたりするそうです。その他、フェイスパウダー・ベビーパウダー・アイシャドウ・スクラブ剤として洗顔料にも含まれているそうです。
他にも� �質な西洋紙にも使用されるため、洋書が重いのはタルクが含まれる為だからだそうです。
と…昔より馴染み深い石ではありますが基本的にはあまりピーズとしては流通はしてないようですでも、加工しやすいので勾玉などの彫刻石材として利用される場合はあるようです。
なお、食材として利用されているからと言ってむやみに食べたりしないで下さいね、(^^;
因みに、石のパワーは不明ですが色合いからすると恋愛の石なのかもしれません。(*^_^*)
肉体的な作用として・・・
利尿作用、消炎作用、抗菌作用、止渇作用があるとされ、
石薬として猪苓湯、加味解毒湯などの漢方薬に配合されるそうです。
その他、熱射病・日射病の治療にも用いられたそうです。
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鉱� ��たちの庭
滑石(タルク)はモース硬度1の鉱物で、爪を立てると簡単にキズがつく。手にすると脂蝋感があっていかにも柔らかそうだ。粉末にしたタルカム・パウダーは化粧用の打ち粉として有名。凍石は緻密な滑石の一種で、印材や置物に用いられ、加工しやすいが触感はやや硬い。熱の伝導性が低いので、鍋敷きや灰皿によい。この他、紙やゴム、繊維産業でも重宝され、それぞれのマテリアルに滑らかさを与えている。
しかし、滑石で面白いのは、なんといっても食材としての用途であろう。フェルスマンの言葉を聞こう。
<おもしろい鉱物学>
「タルクまたは滑石と呼ばれる石は、やわらかさと可塑性をもっているので、お菓子とアメの中で非常に役立っている。たしかに外国では製菓業で少なか� �ぬ滑石が使われている。胃にとって滑石は多分たいして害にならないとはいうものの、ご馳走の正常な部分ではありえないのだが。」
「各種の食品に、鉱物質の物質を混入することは、資本主義社会では、ごくあたりまえのこととなっている。まだ中世の時代、鉱物性物質が、粉やパンに目方を増すために混ぜられていた。重晶石、白亜、石膏、菱苦土石、粘土、砂などの土壌質、または粉末になりやすい白色鉱物が用いられた。」
「資本家たちは他の食品を鉱物で水増しすることも忘れていない。たとえば、牛乳やクリームには白亜や石灰やマグネシウムを混ぜ、バターには水、ミョウバン、塩、粘土、石膏、白亜を含んでいる。蜜には粘土、白亜、砂、滑石、重晶石が水増しされ、菓子には石膏、重晶石、粘土、滑石などが� ��ぜられる。砂糖は石膏、白亜、重晶石で目方を増やされる。」
ということだが、こうした鉱物を加えることによって、食べ物が柔らかくなり、味がまろやかになり、あるいは医薬的効果を発揮することを人類は古くから知っていたらしい。分量が増えるので、腹の足しにもなる。しかも、儲かる。
ちなみに19世紀になって板チョコが流行した時、イギリスの商人たちはカカオに粘土や煉瓦を加えて巨利を上げた。しかし、やりすぎてカカオバターより混ぜ物の方が多くなったため、ついに加工食品に内容物表示を義務づける法律が制定されることとなった。やっぱ、ほどほどにしないとね。ぼちぼちやるのが長持ちの秘訣。
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例えば、銅版画の技法の一つ「アクアチント」の解説を見てみると。
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OCNアート
現代美術用語辞典
アクアチントAquatint/ Acquatinte
銅版画の技法。線を刻むエッチングに対して、防蝕ニスをほどこした銅板に塩や砂糖(暗地用)、樹脂粉末(明地用)でスパッタリング状の面を作って腐蝕させることで細かな色面を作り、より柔らかな明暗効果を生む。17世紀にオランダで開発され、18世紀にドローイングの複製制作への要望から普及した。18世紀後半にはリトグラフの開発により複製技術としては下火となるが、ゴヤが表現手段として用いたことで19世紀のドラクロワや印象派、象徴主義の画家へと受け継がれ、M・クリンガーなどが優れた作品を生み出した。
20世紀になってフランスの版画工房主R・ラクリエールがカラー技術を開発し、P・ピカソやG・ルオーがこれを導入する。1970年代以降抽象表現に使用されるケースが増加し、最近ではD・ホックニーやG ・リヒターといった作家が代表例として挙げられるほか、商業印刷等でもフォトメカニカル印刷として使用されている。
(三本松倫代)
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出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』
アクアチント
アクアチント(Aquatint)とは版画の凹版技法のひとつ。
銅版画の面の表現の技法である。
腐食防止用の防蝕剤(松脂を細かくパウダー状にしたもの)を布の袋などに入れて、銅版に振りかけ、熱で定着させた後腐蝕する。防触剤の隙間から覗いた銅版が腐蝕され、ざらざらなサンドペーパーのような面が出来る。濃淡は腐蝕の時間で加減する。
近年は、アクリル樹脂系の防触剤をエアブラシで吹きつける方法も多く用いられている。
線で明暗を描く技法とは違い、面で明 暗をつけることにより繊細なトーンを表現することができる。
応用技法として、シュガー・アクアチント、スピットバイト・アクアチントなどがある。
色々な銅版画の技法の書かれたサイトを拝見しても、ロジンと書かれたものもあるが、大概は「松脂」と書かれている。防蝕剤と書かれているだけで、成分に松脂が含まれていることが説明されている場合などをみると、元々銅版画で松脂が関係した手始めは、保存用の防蝕剤としての松脂であったのだろうか。その辺りの言葉の定着していく道筋が、何か面白い。
先に引用した、ハリマ化成株式会社のサイトには、多摩美術大学 絵画学科版画研究室 渡辺 達正教授の取材協力によって、銅版画の中で、松脂がどのように使われているのか、写真と動画を含めて解説され ている。
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ハリマ化成株式会社
「松脂(ロジン)を訪ねて」
10.「銅版画と松脂(ロジン)」 /1999.7(取材日)
エッチング(Etching)
ソフト・グランド(Soft ground)
アクアチント(Aquatint)
防蝕剤-グランドについて
グランドとは、油絵などの下地塗りのことをいうが、特に銅版画にあってはその役割から防蝕剤といわれている。
防蝕剤-グランド
グランドは銅を酸による腐蝕から防ぐために、銅版の表面を薄く覆う時に用いる。一般的には版を腐蝕させて凹部を作るエッチングの技法に使われる。
この腐蝕を防ぐ性質は、制作が終わった後に版を保存する目的でも使用される。
グランドはアスフアルト、松脂、白ロウ(蜜ロウ、木ロウ)を4:2:3位の比率で混合して作る。あまり固すぎても、軟らかすぎてもだめである。
グランドのこの成分は腐蝕に対して耐蝕性を持ち(防蝕)、銅版に対する密着性があるために用いられている。
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ウィキペディアには、ロジンとは別に、「松脂」の項目がある。
ロジンが純粋な、生成後のロジンの謂味で使われているのに対して、「松脂」は、生成する前の生松脂、生成後のロジン、古来から我国で使われてきた松脂の用途に従って使われている「松脂」などを含めているようである。それ故、一部「ロジン」の説明とダブル。
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松脂
出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』
松脂(まつやに、しょうし、英語: pine resin)は、マツ属の木から分泌される天然樹脂のこと。
物性
特有の芳香があり、主成分はテレビン油、ロジンである。成分の比率は、採取するマツの品種によって違いがある。中国のバビショウの松脂にはロジン分が比較的高く、アメリカのスラッシュマツや東南アジアのメルクシマツではテレビン油分が比較的高い。
クロロホルム、酢酸、エーテル、アルコールなどに溶ける。水溶性の成分は少ないので、蒸留工場では、貯蔵槽に入れた松脂の表面に水を張り、揮発成分の気化を防ぐことも行われている。
製造
産業的には、主に夏場の成長期に、幹の表面に刃物でV字型または溝型の傷をつけ、しみ出したものを缶や袋などに集めて採る。採ったすぐ後は透明で粘稠な液体だが、だんだん揮発成分がなくなり、粘性を� �す。そして白色固状物質を析出する。
松脂(ロジン)は中国、アメリカ、ブラジルが主な生産国である。中国やブラジルでは上記の様に松の幹に傷を付けてしみ出した樹脂からテレピン油を蒸留で回収し、ガムロジンとして生産している。
一方、アメリカ、北欧では製紙工場でクラフトパルプを作るときに副生する粗トール油を精留することでトールロジンを生産している。日本ではハリマ化成(株)がトールロジンを生産している。
日本でもかつては松の幹から松脂を採取したが、現在は産業としての採取は行われておらず、主に中国からガムロジン、テレビン油およびその誘導体の形で輸入するほか、アメリカなどから粗トール油の形で輸入している。
用途
松脂から精製、加工される各種製品は、主にインキ用樹脂 、合成ゴム用乳化剤、製紙用サイズ剤(にじみ止め)、接着・粘着剤、香料、食品添加物に使用されている。
応用例
シャボン玉原液の材料
粘りがあるため、割れにくいシャボン玉が出来る。
和弓の製造や手入れの材料
適度な硬さと粘りが接着剤や構造材として適している。 天鼠(くすね、手ぐすねの語源)の主原料として使用する。
擦弦楽器の弓の塗布剤
ヴァイオリンなどの弓には馬の尻尾の毛が使用されているが、それだけでは弦との間の摩擦係数が極めて小さいため、小さな音しか出せない。固形化した松脂またはロジンを塗布することで摩擦係数が大きくなり音が出やすくなる。
滑り止め
手などの滑り止めに用いる。固形の状態では野球のロジンバッグ、粘度を保った状態では屋内外のハンドボールにおいてボールを握りやすくする滑り止めなどの例がある。バレエにおいてはフロアに対する足先の滑り止めとして、固形松脂を粉状に砕いてトウシューズに付着させる。ボクシングでもキャンバスでのスリップ防止のためリング下(赤・青コーナーの付近)に粉状の松脂が入った箱が設置されており、リングイン前にリングシューズへ付着させる。
香料
テレビン油の形で香水の成分の一つとしても用いる。また、ギリシャのレッチーナ(Retsina)は松脂を香料として加えたフレーバード・ワインの一種である。フランスには松脂の香りのキャンディーもある。松脂や松葉エキスを含む禁煙キャンディーもある。
食品
ロジンを加工したチューインガムベースが使用されている。
薬品
膏薬、プラスターの粘着成分にする。また、かつては咳止めの薬として用いられていた。
松脂の検索をすると、ヴァイオリン関係が結構ヒットする。
あまりその方面に疎い関係なので、意外だったが、松脂の用途というのは思いの外広く、多方面に使われていることが解る。
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動画で解説・バイオリン教室
〈はじめてのバイオリン・バイオリンの扱い方〉
マツヤニのつけ方と適切なマツヤニの量
練習前につけるようにします。日常つける量としては、弓の毛を弓元から弓先まで2往復程度で十分です。
バイオリンを弾いた時に白い粉が舞うようだと松脂をつけすぎているサインですので、つける量を控えめにしてください。きちんと練習後に掃除をすれば、松脂の粉が飛んでも問題ありません。
弓の毛替えをした時は、弓全体(弓元、弓中、弓先)で音が出るようになるまで"かなり"たくさん松脂をつける必要があります。
弓の毛替えをしたばかりの毛は、つるつるしてまったく音が出ません。音がでるようになるまで松脂をつけます。つけ方は、通常の練習前につける方法と変わりありませんが、かなり、一生懸命つけないと音が出ないはずです。
適切な量は、バイオリンを弾いた時に白い松脂の粉が飛ばない程度で、バイオリンの音が十分に出るまでつけるようにします。
追記
以下の、ハリマ化成のサイトにもバイオリンのことが載っている。
ハリマ化成株式会社「松脂(ロジン)を訪ねて」
01.バイオリンと松脂(ロジン)/1998.3(取材日)
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武蔵野美術大学造形ファイル
レジーヌ(ラズン)
レジーヌとは、リトグラフの製版を行う時に、製版インクや描画材を定着させ、製版液の酸から画線部を保護するために用いる薄黄色の粉末です。成分は、生松脂(バルサム)から揮発性油(テレビン油)を蒸留した時に残留する樹脂(resine:仏)成分で、耐酸性の性質を持っています。
レジーヌの使用方法としては、石版石やアルミ板などの版材に施された描画部分(リトクレヨン・解き墨・製版インクなど)に対して、レジーヌを柔らかい布や脱脂綿でやさしく擦り込むことで、粉末が定着し耐酸性になります。その後、同様の使用役割のタルクを更に塗ることでより耐酸性が増し、製版液(酸性)が塗布されても描画部分は保持されます。
ラズンは、ロジンと呼ばれているものと同じものらしい。
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ロジン(ラズン)
出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』
ロジン(英語 rosin)は、マツ科の植物の樹液である松脂(まつやに)を蒸留して得られる、ロジン酸を主成分とする天然樹脂である。
名称
英語では、colophony(コロホニー)、Greek pitch(グリーク・ピッチ)とも呼ばれる。ロジン関連品は、旧時海軍で甲板の防水、滑り止めによく使われたことから、naval stores(ネーバル・ストアーズ)と総称されることがある。中国語では「松香」(ソンシアン、sōngxiāng)と呼ばれる。
性状
常温では、黄色から褐色の透明性のあるガラス様の固体である。樹液としての松脂(生松脂)にはテレピン油などの常温で液体の揮発性成分も含まれ、揮発性成分が蒸発してしまうと固まってロジンとなるが、ピッチ分なども含むので、蒸留精製したものとは成分が異なる。粉末に加工すると淡黄色から黄色であるが、熱を受けて容易に固結する。
純度、原料の樹種、製法などによって性状が異なるが、一般的に、75℃前後で軟化し、100℃を越えると液体となる。貿易では、熱い液状で鉄ドラムに詰め、冷え固まった状態で輸出されている。
可燃性で、黒煙を出しながら燃える。粉末にして火にくべる� �燃えやすく、中国などの時代劇では火薬の様な使い方をするシーンが登場する。
アルコール、エーテル、ベンゼン、クロロホルムに可溶。水に不溶。
生産
主産地は、中華人民共和国広西チワン族自治区、広東省、福建省、雲南省、江西省、ベトナム、インドネシア、アメリカ合衆国、ニュージーランド、ブラジル、インドなど。中国が世界の約3/5(年産約60万トン)を生産している。
産地によって生松やにの採取に使われる樹種は異なり、アメリカ合衆国ではスラッシュマツが、中国では主にバビショウ(タイワンアカマツ)、ウンナンマツ、ケシアマツとアメリカから移入されたスラッシュマツが用いられる。
また、製造方法についても地域によって違いがあり、アメリカ合衆国では製紙工場でクラフトパルプを作るときに副生する粗トール油を蒸留して作るトールロジンが主であるが、アジアでは、松やにを直接立木から集め、蒸留分離して得るガムロジンが主である。他に、� �採した松の木の根から抽出して集めるウッドロジンもある。
2009年末より、原料の生松やにの不足と需要の旺盛さから、ガムロジンの価格は高騰を続けており、2009年に1トン約1000ドル程度であったものが、2010年5月に2000ドルを突破、2010年末には3000ドルを突破し、2011年に入っても高値を更新するなど、高騰がつづいている。
用途
製紙用サイズ剤、印刷インキ、塗料、接着剤、はえ取り紙、滑り止め(野球のロジンバッグ、ダンス会場などでの床面への粉末散布、バイオリンなどの弦楽器の弓への塗布)、はんだ用フラックス、レンズ研磨器具、医薬、チューインガムベース、香料など。
日本薬局方にロジンは収載されている。主にプラスター、貼り薬など、外用薬の原料にされる。
昔は、手紙の封印用の樹脂にも使われ� �。また、劇用のビール瓶にはロジンで作られているものもあり、簡単に割れ、人を殴っても怪我をしないが、粉々になる点が本物と異なる。
中国では、旧時燃料や着火剤としても使われた。また、アヒルなどの家禽の羽根の根本をきれいに抜くのに、あらかた毛抜きをした家禽を熱したロジンに漬け、冷え固まったところで、はがすことが行われていたが、現在は禁止されている。
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ロジンの生産メーカ「ハリマ化成株式会社」のホームページには、伝統工芸など、「こんなものにもロジンが使われているとは」と思える用途についてのレポートが載せられていて、興味深い。
ハリマ化成株式会社
「松脂(ロジン)を訪ねて」
「私たちは古く� �ら、自然の恵みを生活の一部として大切にしてきました。松の木からとれる松脂(ロジン)も生活の中に、また伝統技術の中にも活かしております。このシリ-ズでは、そのような 松脂(ロジン)の用途に焦点をあて、紹介しております。」
01.バイオリンと松脂(ロジン)/1998.3(取材日)
02.天体望遠鏡と松脂(ロジン)/1998.5(取材日)
03.紀州松煙墨/1998.6(取材日)
04.松脂蝋燭(まつやにろうそく)/1998.9(取材日)
05.お線香と松脂(ロジン)/1998.10(取材日)
06.蝋型鋳金と松脂(ロジン)/1999.1(取材日)
07.ふすべ技法と松脂(ロジン)/1999.3(取材日)
08.朱肉と松脂(ロジン)/1999.4(取材日)
09.奈良落戸遺跡から「封」出土/1999.6(取材日)
10.銅版画と松脂(ロジン)/1999.7(取材日)
11.いぶし瓦と松脂(ロジン)/1999.10(取材日)
12.ロジンバッグと松脂(ロジン)/1999.12(取材日)
13.ロジンア-ト・おもしろ館/2000.2(取材日)
14.越前和紙と墨流し/2000.3(取材日)
15.江戸切子(硝子工芸)と松脂(ロジン)/2000.6(取材日)
16.彫金(ちょうきん)と松脂(ロジン)/2000.9(取材日)
17.弓弦(ゆづる)と松脂(ロジン)/2001.1(取材日)
18.笙(しょう)と松脂(ロジン)/2001.3(取材日)
19.江戸解き友禅と松脂(ロジン)/2001.6(取材日)
20.鞄(かばん)と松脂(ロジン)/2001.12(取材日)
21.コンデンサ-と松脂(ロジン)/2002.3(取材日)
22.松根油(しょうこんゆ)を訪ねて/2002.6(取材日)
23.マッチと松脂(ロジン)/2002.10(取材日)
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スティーブ・ジョブズ死去の、ニュース。56歳。
朝8時50分NHKラジオで、アナウンスされた。
あの、ほほのこけた最後のイメージが、痛々しい。合掌。
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さて、つづき。
H液の件は、リトグラフの基本の部分なのに、これは、これを使って、さぁ、次は、これ、といった、作業手順の工程にその名前が出てくるが、何がそこで行われているのか、説明してくれているようには思えない。後日、作業工程をたどり直す中で、もう一度考え直してみようかと思っている。
「材料と用具」の続き。
エゲンラッカー
100mlで、600円くらい。描画面を強固にする。
「エゲンラッカーはどうしようかなと思ったけど、チンクタールだけでもいいという、美大を出た人が言っていた都市伝説を信じて� �に戻す。」
チンクタール
100mlで1500円くらい。描画面を強固にする。
「とりあえずチンクタールは買わないと。」とある。
「イタヅ」には、チンクタールについて「イメージ部分に強力な油性の膜をつくる」とある。
さて、「女子美大」では(石版用の製版工程の中で)、ここでまた一つ、微妙な使い方がされていて、結論でいえば、「これでもいいし、あれでもいいのだ・・・」なのかと思う。
そこには、「製版インクとチンクターをよく混ぜ、のばしながら塗る。」とあり、その製版インクとチンクターを混ぜたものを、「インクター」とよんで、他のところの製版方法では、ローラーで製版インクを版面に乗せているところを、その「インクター」を布でのばしながら塗っている。
「石版画研究会」で は、「チンクター」の文字は見あたらずこれに替るものを、「製版インキ」が担つている。
だから、エゲンラッカー、チンクタール、製版インク(これは製版墨と同じものと考えればいいのだろう)、それに補強剤としてのラズン、ストーンパウダーが、「製版用材料」というひとまとまりの分類になるのかと思う。
もうひとつ、「版画芸術」では、「チンクタール」の替りとして、「シリコン」を用いるとある。これもそうであれば、この分類に含まれそうであるが、どうなのか。「版画芸術」の説明では、シリコンを用いるものを、「ウオーターレス リトグラフ」と云うらしい。であれば、これと他の製版とは、根本的に異なるところがあるようである。この方法についても他のやり方との違いを含めて、何がよりシンプ� �な方法なのか学んでいきたい。
また、「製版墨」は、四畳半氏のようにそのままプリントインクとして、使用するひともいるのだから、応用の仕方で、厳格な分類が意味をなさなくなるだろう。それはそれとして、四畳半氏の「宣言」どうりであれば、この先全く思いがけない材料を使った新しいやり方で、製版がなされるやもしれないと、密かに期待している。
ラズン松脂
「製版墨を引締めるらしい」1600円くらい。
ストーンパウダー
同じく製版墨を引締めるらしい400円くらい。
シリコン+シリコンガン
(「版画芸術」の方法の場合)
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「銅版画をやっている人たちからは、失敗しやすい、手間が掛る、体力がいる(体力?体力はいるのだろうか?どこに?)」と言われる。しかし、「物凄く面白くて、ミラクルな版画である。」「細かい描写も、銅版画に近い効果が出来る。(本当?)」「過程と、実験と検証を交えながら、リトグラフの新技術をも「開発」できたら!!」(ここが凄い)
四畳半のリトグラフ
はじめに Au début
来年、一月に蔵書票のグループ展があり。俺はリトグラフで作品出品をしないといけないのだが、作品製作をする工房に通っていないので、全てこの4畳半の我が部屋で版画制作をしようと思う。町田の版画美術館、横浜の美術館などでも、リト制作は可能であると聞こえしも、予約を取るなどの煩瑣な手続きがどうにも自分には面倒である。かねがね小さい版なら自宅でも作れなくないよなと思っていた事を実践する機会を得たという事にして、一つ挑戦してみようではありませんか。
リトグラフは同じ版画ながら銅板画をやっている人達からみても「失敗しやすい」「手間がかかる」「体力がいる」などなど...と忌避されているように思えるけど、俺にしてみたら、リトは物凄く面白くて、皆にも是非やって欲しいミラクルな版� �なのです。リトはフラットな版画で、細かい描写には不向きと思っている人もいるけど、かなり銅板画に近い効果が得られるのです。
仮定と実験と検証を交えながら、リトグラフの新技術をも開発できたらいいなと思っています。
筆者は、「四畳半氏の四畳半講座」と、かってに思いを入れて、
リトグラフの小径に踏込んでみようと思う………。
まずは、必要な用具と材料の点検。
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プレス機
「文房堂の銅板画用小型プレス機があるけど、自宅で出来ると銘打っているから、できるなら、他の手段で刷りたいもの。バレンでだめなら、単純構造のものを自作してみるのも」
これって自作できるの?でも、四畳半氏なら、出来るかも。線量計を自作される人だから 。私には、どうだか。取りあえず、必要そうだけど、閾は高い。
バレン
これは、ある。木製リトグラフでは、「バレン」でプレス機代りが出来るように書かれていたから、あるいはアルミ版でも出来るのかと、少しは私も考えないではなかったが、現実に四畳半氏が、その手で作品を刷られているのは、ブログにあるとおり。
アルミ板
これだけは、何が何でも必要か。でも、アルミホイルって、それもあり?いやいや、まずは、正当な道から。
アルミ版の大きさは、四畳半氏は今回蔵書票展用の制作の為、20㎝×30㎝くらいのサイズ、一枚359円、後ほど、世界堂での値段は、380円。
只ここで、「整面液」という言葉を始めて知った。
整面とは、アルミ版を油に反応させる為に、専用の整面液を塗布する。えぇ~っ� ��そんなことをするの?でも、「ネットで販売しているアルミ版は整面済なので、整面液は買わなくても良さそうだ」とある。
インク
とりあえず、モノクロの上がりなので。
スワローインクの「製版墨」。2000円くらい。
製版墨は、粒子が細かく、小口木版でも印刷用に使用するらしい。乾燥抑制剤が入っているのでなかなか乾かないらしいが、四畳半氏はプリント用にもこれを使用するようだ。乾燥抑制剤とは、シルクインクでいえば、リターダ、遅乾剤、イソホロンの類が入っているのだろう。
ローラー
直径5㎝、幅10㎝、2500円くらい。
「皮を使って製版ローラーを作ってみる(?)のも」と、あるので、ゴムローラーに自分で裏皮を張るということなのだろう。出来るの?
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SK液
1300円くらい。非描画面を保護。水に濡れているとインクが付かなくなる魔法の液。
H液
版のインク汚れをとる。
「えっ、そうなの?」っていう感じ。他の解説では、これを使って、「製版」が行われているのに。
SK液とH液とは違ったものなのか、よく似たものなのか。
「イタヅ」の説明では、
アルミ版用と石版用では少し異なる。
アルミ版用では、
アラビアゴム=アラビアゴム溶剤
エッチ液=アラビアゴム液+リン酸
石版用では、
エッチ(etch)液=硝酸を加えたアラビアゴム液
とあり、こちらは硝酸。
「女子美大」では、
硝酸ゴム=硝酸とアラビン酸(ゴム)が石灰に反応して……との解説と共に、「硝酸とアラビアゴムの混合液」とした後、さら� ��、それをエッチ液と表記して、金剛比率で、3種類に別けている。
エッチ液2%液 ゴム30cc 硝酸 5~8滴
エッチ液10%液 ゴム30cc 硝酸 20~25滴
エッチ液20%液 ゴム30cc 硝酸 30~35滴
「石版画研究会」には、
アラビアゴムの水溶液の濃さとして、
アラビアゴム100gに対して、水200~250g
硝酸ゴム液、硝酸の濃さは、約2%
アラビアゴム水溶液40ccに対して、硝酸をスポイトで6~7滴とある。「女子美大」の、2%エッチ液と似た成分率である。
「版画芸術」2011秋号「リトグラフ入門講座」には、次のように書かれている。
エッチ液 インクの太りや版の汚れを防止し保水性を助けます。
SK液 アラビアゴムにエッチ液をまぜたものです。
アラビアゴム 水で溶かして使います。
別に、MAX液というのも載っていて、これは、全く別のものなのか?その辺りは解らないが……、
MAX液 水に混ぜて使うもので、版を湿らせる水の量が少なくてもインクを綺麗に載せることができ、インクの乗せすぎを防ぎます。
以上4種類の液剤が書かれているが、成分の説明はない。
本文中には、「SK液(アラビアゴム液)」との表示もあり、
エッチ液、SK液、アラビアゴム液などを、曖昧に表記しているような気がする。
だから、四畳半氏の説明でも、どれがどうで何が何なのか解らず、多分、今までの経験で、使い分けているということなのだろうが、
「H液はどうしようかと思うけれど、大� �原に船壁修復材を持たずに出港するようなものなので、……SK液だけでは戦えんだろう」
と、あって、この方の言回しは、ほとんど惚れ込むばかりにかっこいいけれど、材料の説明としては、門外漢には、チンプンカンプン、柿の種。とは、かってに氏のブログを入門講座にしている筆者に分は無いが。
さてもう一つ奥の手の参考サイト、「武蔵野美大造形ファイル」には、「製版液」の項目が、有りました。
「製版液はアラビアゴム溶液に、リン酸と氷酢酸を加えた混合液で、エッチゴム液とも呼ばれています」とある。
アラビアゴム溶液100に対して
リン酸1~2%
氷酢酸0.1~0.2%を混合
「この処方以外にも、アラビアゴム溶液にエッチ液を加えたものや、すでに酸を調合して、市販しているSK液� ��どの不感脂化液で代用ができます。」と、ある。
ここでは、製版液という言い方がされているわけである。
リトグラフの製版の行程は、なかなか解りにくい。
「版画芸術」の佐竹さんは、「初心者は、製版で躓いてしまうことも少なくありません」、と書かれている。本当のところこの工程は、実際に生で指導者に教わりながら、技術を習得していくのが一番いいのかも知れない。技術というものは、大概そうしたもので、文字で解説出来にくい部分を多く含んだものなのだから。只、それはそれとして、それぞれの技術解説によって、あまりにも用語が不統一で、通称の用語や、商品名、先生の系統で使用される言回しがその都度バラバラな事も、大きな障害となっているのだと思える。
又、石版用とアルミ版用では� �の種類が異なっているみたいだが、アルミ版でも「硝酸+アラビアゴム」と書いてあるものもある。実際そのように使用されているのだろうし、それがいいのか、それでも取りあえず大丈夫なのかの、境目がなかなか理解出来ない。夫れと、四畳半氏のブログで始めて知ったが、他の解説でお目に掛れなかったのが、先にも書いたが、「整面」の概念である。
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四畳半のリトグラフ
「2010年10月2日土曜日 リトグラフのメカニズム」 に、
「もちろん俺は化学の素人なので、……推測の域を出ないところもある」と、しながら、
「アルミ版は、アルミニウムだ。そのすぐそのままアルミ版に油分のもので描いても、最上の反応は得られない。まず製面しなければならない。製面とは、すなわち酸化させるということだ。製面液という謎の液体をアルミ版にすばやくかけて水で洗い流すのだ。」
それを、「アルミニウムを硫酸アルミニウムにする」と、氏の資料に書かれているという。だから、「その液は、薄い硫酸である」と氏は、結論づける。
「酸化アルミニウム+脂肪(油分=描画剤、クレヨンなど)が結びつくと、脂肪酸が出てきて、アルミニウムと結合して脂肪酸アルミニウムになる。これにより、以後油分を引きつける性質になる」。
その上に更にアラビアゴムやSK液を全面に塗ることで、
酸化アルミニウム+(アラビアゴム+硝酸)が、硝酸アルミニウムになる。これが、吸水性があり、水を引寄せ、油を反発させる。
「SK液にはおそらく硝酸が含まれているんだろう」ともあって、えぇ~知らなかったの?……とも思う。
しかし「アラビアゴムだけでも油に反発する。それは、アラビアゴムがアルビン酸という成分で、アルミニウムに化合して、アルビン酸アルミニウムとなり、親水性を持つからだ」とする。
それは、石版の場合に、
炭酸カルシウム+脂肪=脂肪酸カルシウム
炭酸カルシウム+(硝酸+アラビアゴム)=硝酸カルシウム
に、対応しているというのが、四畳半氏の解説である。たぶん。
そこで、「キッチンリトグラフ」の「クエン 酸を含んだコーラ」の謂味が少し解ってくるような気がする。と、ここまで来て、武蔵野美大の造形ファイルに整面液の項を見付けて、読むと、
「整面液は、クロム明礬飽和液100に対して、1~3の割合の硝酸を加えてつくる」とあり、しかも横に付された瓶の写真には、ハッキリと硝酸の文字が書かれている。
夫れなのに、アルミ版の項には、「整面液を塗布することで、硫酸アルミニウム膜をつくり、云々」と、あって、そこのところ、どうなっているのだ!!
とりあえず、今回はここまで。
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