2012年5月10日木曜日

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ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書)

キーワード:
 漆原直行、ビジネス書、自己啓発書、宗教、読書論
フリーランスの記者、編集者によって、自己啓発系のビジネス書の実態が示されている本。以下のような目次となっている。
  1. 第1章 ゼロ年代のビジネス書幻想
  2. 第2章 ビジネス書の掟と罠
  3. 第3章 「ビジネス書」というビジネス
  4. 第4章 ビジネス書に振り回される人々
  5. 第5章 "そこそこ"賢いビジネス書とのつき合い方
  6. 第6章 ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない

(目次から抜粋)

世にはびこる自己啓発系のビジネス書の過去のラインナップを振り返りつつ、そのようなビジネス書が売られている出版ビジネスの経緯、そしてそれに追従しようと何冊も読みまくる意識の高いビジネスパーソン(笑)の集まり、さらには宗教じみた、そしてある種の気持ち悪さを含んだビジネス書とどう付き合っていくべきか、そして最後にビジネス書を読んでもデキる人には絶対なれないということなどが示されている。

本書はTwitter経由で発売を知り、発売日の2月24日に買った。最近全然読書ができていないから、ついむしゃくしゃして読んだ。後悔はしていないwwむしろ一昔前のダメな自分を見ているようなとても痛々しい内容で� �こまけーことはいいんだよ!!買って読め!!っていうような本。ここ1,2年自分が自己啓発系のビジネス書に対して感じていたことがかなり分かりやすくまとめられていた。

たくさん線を引きまくって、あるあるwwっていうのがありまくったのだけど、以下内容についてはあまり触れないで、本書の内容に関する部分の過去の自分の失敗例、反省点、思うところについてつらつらと綴っておくことにする。

自己啓発系ビジネス書にはまるきっかけ
読書ブログを始めたころは、別にそこまで自己啓発系の本はそんなに読んでいなかったと思う。まぁ、状況が状況だったし、仕事がどうのこうのということはあまり考えている余裕はなかった。そして実際に働き出して、1,2年目は忙しいながらも、自己啓発系の本を月2,3冊程度読むくらいだった。

しかし、ちょうど250冊を超えたあたりから自己啓発系の本が多くなっている。

そのころが大体2008年の4月ごろとなる。ここはやはり自分の仕事が全然うまくいってなくて、途中でプロジェクトからリリースになった時期と重なる。

そして、次のプロジェクトにアサインはされたが、割と時間的にも余裕があって、このまま会社で仕事をしていてよいのだろうか?と迷い始めた時期となる。そこからいろいろと著者が参加するセミナ� �にも出始めた。


人はパット·ベネターでハートブレイカーをリメイクしました

自己啓発系の本にはまる理由を一言で示すと、本業がうまくいっていなくて、どうにかしたいという危機感みたいのものだと思う。似たようなことが本書でも示されていた。

自己啓発系のビジネス書の効用とデメリット
自己啓発系の本の効用は、やはり一時的な昂揚感とポジティブな思考ができたり、モチベーションアップになるんだよね。でもそれが一時的で持続しない。また同じ本を読み返すのも微妙だし、他の本はもっと違うことが書いてあるかもしれないと思いつつ、モチベーション上げたくてまた本屋で似たような本を買って読んでしまっていく。

結局は同じ本を繰り返し読んだ場合とあまり効果がなかったという部分もある。そもそも、前に買った本はちゃんと実践して、自分のものとして落とし込んでいるかも怪しい。そして一度味わったその昂揚感を常に追い求めるために、内容的には同じようなものを買い続けていくということになりかねない。

書評ブロガーのジレンマ
自分のように読んだ本について書評や考えをアウトプットするような書評ブロガーは多い。読んだ内容をアウトプットすべきと示されているビジネス書も多い。書評ブログでアクセス数を稼ぐといったことが目的であれば、更新頻度がとても重要となる。そこで更新頻度と親和性が高いのが自己啓発系ビジネス書となる。

かなり読みやすい構成になっているので、ちょっと速読するだけで90分くらいで読める。そもそも真新しい内容が書かれていることはほとんどないから、今まで似たようなものを読んでいるだけに、すんなり理解できて、どんどんページが進んでいく。そうすると、文学作品とか分厚いノンフィクション系の本に比べてかなり速く読み終われる。

アウトプットとして記事を書くときも、今まで似たようなもの� ��書いてきた積み上げがあって、一定のアウトプットの型を自分なりに確立できると、書くのにもそんなに時間がかからない。そうなれば、一定の更新頻度を保つことができる。

あるとき、別ジャンルを読んでいこうとなると、読み込み、書き込みともに工数が何倍にも違ってくる。そうなると、更新頻度が2週間に1回となっていき、ブログをやり始めたばかりのころは、固定読者もなかなかつかなくなる。本当は自己啓発系のビジネス書に飽きているところに、更新頻度を維持したくて、しょうがなく自己啓発本を取り上げていくということになってしまう。それが3,4年前くらいの自分とこの読書ブログとなる。


ここで、iは映画シカゴから曲を聞くことができます

自己啓発系の本の著者、出版社にとっては、読者はいつまでもデキない人でいてくれたほうがいい
身もふたもない話なのだけど、自己啓発系のビジネス書を書く著者も出版社もボランティアでやっているわけでもなく、あくまで利潤を追求したビジネスとしてやっているということを忘れてはいけない。だから本がたくさん売れて儲かったほうがいいに決まっている。

もし1冊の本でそれを読んだ人がみんなデキる人になってしまえば、同じような本を出しても売れなくなる。そうなっては自己啓発系ビジネス書を売るというビジネスモデルは崩壊する。だから、著者、出版社にとっては、読者はいつまでもデキない人のまま、自分たちの本のファンとして続編を買い続けてくれたほうがビジネスとして儲かるので都合がよい。

だからあなたもデキるようになると自己啓発書であおっておいて、本を買ってもらい、実際にはそ� �本を読んでもデキる人になれなくても、『読んでも実践してないから』とか『こっちのやり方のほうがいい』とかもっともらしいことを書いているのではないか?、と邪推する部分も無きにしも非ず。すべての自己啓発書がそうだとは言わないけど。

自己啓発系のビジネス書を数百冊読んでも害悪しかない
このブログの右のサイドバーにある『ビジネス、自己啓発系』というカテゴリが示す通り、200冊以上は読んできた。それらは意味があったのか?、またはリターンがあったのか?と問われると、はっきり言ってほとんどない、と思う。むしろ結果的にそれは時間とお金のムダでしかなかったと思う。

確かにアウトプット力とか読解力みたいなものはつくけど、でもそれはそれぞれの本が本来期待値として想定していたリターンとは全然違う。自分が実践できていないだけという部分もあるけど、かといってそんなに何冊も読む意味はなかった。本書でも示されている通り、自己啓発系の原典的な本を数冊、時間をかけて読んだほうがはるかに時間もお金も節約できたなぁと思う。

お金はいくらでも取り戻せるけど、失った時間は取� ��戻せない。その時間にもっと自分の専門分野を磨く勉強をしておけば今はもっとデキる人になっていただろうと思うと、後悔が多い。だから自己啓発系のビジネス書を読みまくっても、害悪でしかないとあえて断言する。

デキる人になるために、何を読むべきか?
これに関しては、著者の真摯な思いが示されている部分があるので、そこを引用しておきたい。


ピート·ドハーティのビデオショック
 もちろんビジネス書だって、楽しいから読むという接し方をしたっていい。別にアウトプットにこだわらなくても、速読しなくても、マーカーペンで線を引きページをカラフルに彩らなくても、要点をマインドマップでまとめなくてもいいのです。自分には合わないやり方なのに、本を読むことの本来の醍醐味や魅力をただ蔑ろにするだけの、「デキるビジネスパーソンになる」といった方法論ありきの読書を続けたところで、果たしてどれだけの意味があるのか。読書が楽しくなくなるような本の読み方をしていたら、どんな内容の本であろうと駄本に変わっていきます。ポイントはやはり幅広い読書。別に冊数を多く捌く必要はありません。が、� ��ジネス書ばかりでなく、文芸書やノンフィクション、歴史書に目を通してみるなど、ジャンルの幅を広げてみることは重要です。ビジネス書を読むにしても、特定の著者や特定の領域だけの本ばかりを追い続けるのではなく、ほかの著者にも気を配り、バランスを意識しながら本に接していくように努めたいもの。
 至極当たり前のことばかり書き連ねていますが、ビジネス書にドップリな御仁には、こうした当たり前のバランス感覚に欠けている人があまりにも多いように感じます。ビジネス書に縛られ、ビジネス書しか視界に入らない、ある種の視野狭窄。どんな目的を持ち、どんな読み方をしても自由ですが、自分に合わない読み方、読書自体を楽しめない読み方だけは、絶対にしてほしくない―それが私の思いです。

(pp.251-252)

まさにここに示されている通りだと思う。ここ2年くらいは、安易な自己啓発系のビジネス書からの脱却を図ることを意識してきた。資格試験の勉強とかでそもそもあんまり読む時間が取れなかったというのもあったけど、そんなにバカみたいに多く読まなくても何も困らなかったという部分もあるし、� �よりも冊数をこなすこと、ブログを更新することが目的となっては、本質的に読書を楽しめないしね。

あとは、読書ブログをやっていても、更新のためにどうでもいい本を読むべきではなく、そもそもの自分の読書、そして読書ブログを続ける意義の原点を振り返ってみると、そんなに自己啓発系のビジネス書は読む必要がないということに気付いた。

そして、真にデキる人になるには何を読むべきか?を自分なりに示すと、以下の優先順位となる。


  1. 自分の仕事に関する専門分野の本
  2. 文学作品や歴史、科学など自分の専門とは関係ない教養書
  3. 好きな漫画
  4. ビジネス書(自己啓発系を除く)
となるのかなと思う。まずは本業をおろそかにしていては話にならないということで、自分の専門分野の教科書的なものをきっちり押さえておくということが重要でしょう。そして休日など余力があるときに人間的な教養を深めたり視野を広げるためにも文学作品、SF小説、ノンフィクション、科学本、歴史書やエッセイなどを読めばいいと思う。

漫画や本当の意味でのビジネス書、その他ジャンルなどの優先順位は人それぞれ好きなのを優先にすればいいと思う。自己啓発系の本は年始に原典的なものを1冊決めて、それを1年を通して繰り返し読み続けるのがよいのではないかなと思う。

まぁ、この読書方針でどこまでデキる人になれるかは分からないけど、それは今後自分のブロ� �をずっと見守って判断していってもらいたい(笑)。

あと、この読書ブログの固定読者で、自分の28歳という年齢以下の人がどれだけいるか分からないけど、自分の失敗の同じ轍を踏まないように、安易な自己啓発系の本を読みまくったり、そのような著者が参加するセミナーに行きまくったりして本質を見失うのはやめたほうがいいね、と助言しておく。それよりも、苦しくても本業から逃げてはいけない、そこでまず成果を出せるようになれ!!とエールも送っておこう。

本書に書いてある内容に客観的に気づくのはかなり長い時間がかかる。自分は3年ほどかかったかもしれない。もっと前に読めていたらなぁと思う反面、まだ20代半ば過ぎで気づいてよかったのかもしれない。自己啓発系ビジネス書にドップリの人にとっては、� ��が痛いことがたくさん書いてあるかもだけど。

似たような本として、以下があるので、ついでに読んでおくのもよいかもしれない。

自己啓発系ビジネス書を読みすぎていたり、どこか違和感とか気持ち悪さみたいなものを感じている人は、『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』を読んでみたらいいと思う。


ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない (マイナビ新書)
著者:漆原 直行
販売元:マイナビ
(2012-02-24)
販売元:Amazon.co.jp

読むべき人:


  • 同じような自己啓発本ばかり読んでいる人
  • 著者の参加するセミナーに行きすぎている人
  • 本当の意味でデキる人になりたい人
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