10月23日、日曜日、奈良県立美術館に
「磯江毅=グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才」展を、見に行く。
(公開 2011年10月22日~12月18日)
毅は「つよし」と読む。
奈良県立美術館
新聞の紹介記事(朝日新聞社主催)で、女性を克明に描いた鉛筆画を見て、そのリアリズム表現に目を見張らされた。
その卓越した観察力とデッサン力に、この人は何者なのかと思わせるものがある。
1954年(昭和29年)生れ、大阪市立工芸高校を卒業し、1974年、19歳、単身シベリア鉄道で渡欧、スペインの王立美術学校などでデッサンを学んだ後、作品を発表、様々な賞を受賞し当地で高い評価を受ける。
以後30年余に渡って油彩、鉛筆画による写実絵画を探求する。
平成8年ごろから日本にも拠点を置き、広島市立大学芸術学部などで教壇に立つなど後進の指導にもあたったが、
2007年9月23日、呼吸不全のため、53歳で死去。亡くなるまで4~5年は、病魔と闘いながらの制作であったという。
「見つめれ� �、見つめる程、物の存在が切実に映り、超現実まで見えてくる事がある。そこまで実感し、感動を起こす精神の繊細さをもって初めて実を写せるのではないだろうか。習い覚え、慣れ親しんだテクニックだけでに頼って機械的に描かれた画面に、実が宿るはずはない。」(磯江毅「わが写実2」/『月刊美術』1991年12月)
「内田樹の研究室」に、磯江毅の亡くなる数ヶ月前、彼の展覧会での話が載っている。
記事の日付が、2007年4月24日、磯江の死が、同9月23日。
磯江毅と内田樹が回話を交している。
「磯江毅さんの展覧会に行く」
磯江毅さんの展覧会(「存在の美学」)を見になんばの高島屋に行く。
磯江さんは山本画伯のスペイン苦学時代の友人で、写実主義の画家である。
絵を拝見す� �のははじめてである。
順繰りに6人の画家の作品を眺めてから、山本画伯と磯江さんにシロートの適当な感想を申し上げる。
写実絵画からは腐臭がする。
どうしてかしらないけれど、写実が端正で緻密であればあるほど、そこに描かれているものから腐臭や屍臭に似たものが漂ってくる。
それがぼくはわりと好きなんですけどね、と申し上げる。
磯江画伯がぐっと膝を乗り出して「そうなんですよ」と言う。
「写実主義の絵画には時間が塗り込められていますから。」
(以下省略)
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新聞に載っていた件の女性を描いた絵は、かなり大きな作品の一部分で、全体は薄暗い空間に裸の女性の全身像が仰向けに浮んでいる(?)という作品であった。決ったモデルがいて、そのモデルを克明に写生して、まるでその存在をそのまま、この画紙の上に移し採ってしまったかのようにすら思える。頭髪の一本一本、鼻の穴と口元の柔らかさ、胸元から腕、指先、長く伸びた美しい足、その陰翳の作り出す不思議なリアルさは、そのモデルを本当にこの空間に浮べて、描いたのではないかと思わせる程だ。この「深い眠り」などの制作には、2年くらい掛っているという。眠っているような永遠の時が、画面の中に流れている。きれいな画面ではない。よく見ると画面の上には、滲みや汚れのようなものまでが描かれて いる。つまりそれは、汚れているのではなく、その汚れすらを描いている。しかしその汚れが、意識的に写真ではない写実主義の真骨頂を際だたせている。それは言換えれば、その女性を描くと云うより、紙の上に描いた女性であることが優先されているかのように思える。その限りなく現実に寄添った画面は、既に、現実から離れて別の空間に存在している。長い時間を掛けた細かい丁寧な黒鉛の積重ねが、この作品を前に人を、神聖な清々しい気持にさせる。
目を引くのは、そうした鉛筆画の大作だが、油絵や、デッサンなども丁寧に揃えられていて、磯江毅という、まだそれほど知られていない画家の、全体像を見通せられる構成である。マルメロや葡萄、カリフラワー、柘榴などの静物と共に、皮を剥がれた兎や鶉の絵などもあって、ギョッとさせられるし、高橋由一に捧げられた鮭の油絵を見ると、磯江が自分の制作の原点に、何を持っていたのかを深く想像させる。
写真と写実絵画とに、人はその意識の中で、如何様にその価値判断の折合いを付けるのだろうか。マンチャ(汚れ)と称するスペイン式のデッサン法によって、きめ細かい女性の肌を画紙の上に定着していく手法を自身の制作の基本に据え、それを突詰めて成立する磯江の手法と、シャッターを押せばその自然の光と影を化学的に定着させるゼラチンアートとが、似て非なることは明かである。しかし、それが何処にその違いを、それを受止める人に対して際だたせているのだろうかと。どこに人はそれの美を見いだすのだろうか。何を受入れ、何を退けるのだろうか。写真には写真の持つ美しさがあるし、写実絵画には又それとは異なった美しさが人を感動させる。そうではなく、それを受け止めるその人間が、自身の意識� �その作品を受入れ、あるいは退ける差違は何なのかを知りたくなってくる。磯江の作品は、そうした思いを喚び起させる作品である。
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(追記)10/27
内田樹が山本画伯と呼んでいる山本浩二画伯が、2009年9月、ミラノで展覧会を開いている。磯江が亡くなって2年後。内田樹はその展覧会のカタログに寄稿して、磯江と山本の作品の類似と差違について、述べている。その寄稿文を引用されているブログを拝見したので、少し引用させて戴く。一部、先の内田のブログの内容と重複しているが、そこで、磯江と回話をしていて不意に理解したのだと云っている。「長く疑問に思っていた絵画の本質について」、「絵画の本質」というのは、筆者の解釈的言回しではあるが、多分そういうことなの� ��と思う。つまり「画家はどういう理由で、その技法を「具象」と「抽象」に分岐するのか。」
ただ気になるのは、内田樹が磯江のことを「才能豊かな静物画家」と呼んでいることか。多分高島屋の展覧会の出展作品が、静物画であったためなのだろうが、あるいは磯江の他の作品についても、その本質的な描き方が静物画を連想させるものだという読みがあるのだろうか。
もう一つ、気になるのは、ブログでは「腐臭や屍臭に似たもの」と書かれていたのが、ハッキリと「死臭」と書かれている。確かにブログにも「屍臭」という言葉が使われているが、少しニュアンスが違っているようにも思える。回話を交した後間もなく磯江が亡くなったことが、この言葉を選んでしまったものだらうか。
引用は、勝手な省略などし� �いるので、正確には、以下のブログを拝見して欲しい。
いや、ほんのちょっとだけ。
山本浩二画伯の個展@ミラノ行きてー!
>
『山本浩二の芸術』 内田樹
画家はどういう理由で、その技法を「具象」と「抽象」に分岐するのか。長い間、それが私にはわからなかった。
漠然と、目の前にある対象を「写生」的に再現することに喜びを見いだす画家と、目の前にある対象を超えたもの、その向こうにあるものを描き取ることに喜びを見いだす画家のあいだには気質の違いのようなものがあるのだろうと考えていた。
山本浩二の古くからの友人であるひとりの静物画家の展覧会でのことだ。
その画家の静物画からは「死臭」がした。
彼は葡萄の画を描いていた。最初にテーブルに置かれた葡萄は画家がキャンバスにそれを写しているうちに腐敗して、崩れてゆく。腐った葡萄の粒を画家は取り除き、色とかたちの似た粒を接着剤で� �りつける。そのようにして一枚の画を描き終わったときに、最初にテーブルの上にあった葡萄はすべて腐って棄てられた。そして、画布の上にだけみずみずしいその葡萄の「デスマスク」が残されたのである。
では、あなたは静物=死んだ自然を描くことを通じて、それらすべてを含むもの、すなわち「時間」を描いていたのですね、と私は言った。
彼はその通りだと言った。
造形的にはみずみずしい果実が死臭を発していることで視覚が決して描くことのできないもの、すなわち時間を空間的に表象しているのだ、と。
奇妙な話だが、私はその静物画家の言葉をきいた時に、山本浩二がその抽象的な造形を通じて、何を描き出しているのかを不意に理解した。
あの才能豊かな静物画家は「死」を、それも「いき� ��きとした死」を描くことに成功した。「いきいきとした死」というのはまさに「生きているものが死につつあるその状態」のことである。だとすれば、と私は自分に問いかけた。山本浩二はいったい何を、どう描くことで、芸術家たちをそこに釘付けにしている空間的表象形式の限界を突破する気でいるのだろうか。
私には今ならその答えがわかるような気がする。
あの画家が「死」を描こうとしたのとは逆に、彼は「生成」を描こうとしているのである。
何かが生まれる瞬間の、というより直前の、ざわめきや、震えや、ときめきを描こうとしているのである。
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久しぶりに四畳半氏のブログを覗くと、更新されていた。
しっかり、あのリトの実践をされている。
四畳半のリトグラフ
2011年10月13日木曜日
キッチンリトグラフ その2
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「アーツ アンド プリント」について
このブログは、基本的に筆者の私的なノートであって、備忘録のようなものである。
内容が、勝手なコピーばかりで申訳ないが、私的なというところ当りで、御寛容を・・・・・。
(ここで、こんな言回しも、おかしなものだが・・・・・・・。)
「リトグラフについてのノート」という始りではなかったが、このところ、そんな方向になっている。
以下のホームページや雑誌記事を参考に、リトに付いていろいろ勝手に、コピ散らかせてもらっている。
まだ、しばらくは、リトについて、あ~でもない、こ~でもないと、彷徨い歩いてみようと思うが、
で、そのリトの実践は?・・・・・・・・・・。
で、本職の・・・・・・・シルク印刷のことは、どうなっているの?とか、なんとか。
・・・・・・・・もうしばらく、このあたりを、うろちょろしてから、・・・・・・よろしくお願いいたします。
リトグラフ 参考サイト +
1.SATOKO's HOME PAGE●石版画について
版画家イイヅカ・サトコさんのホームページ
あくまで、石版リトグラフでの作業手順と用具の説明。懇切丁寧。もの凄く参考になります。
2.石版画研究会報告書東京版画研究所
イイヅカ・サトコさんのお師匠さん、阿部浩さんが版画研究所で講座を開かれた時のレポート。
この師にしてこの弟子あり。
3.TSUKUHAE通信──リトグラフ工房の日々
都心で唯一のレンタルリトグラフ工房。
TSUKUHAEの名称は、大正3年(1914)に恩地幸四郎、藤森静雄、田中恭吉の3人によって創刊された自摺の木版画誌「月映」によります。
ツクハエはリトグラフ工房ですが、一般にリトグラフといっても 石版とは限りません。
ジンク版、アルミ版、PS版(写真製版)によるものがあって判別できない作品もあります。
またプリント形式の異なるオフセット校正機を使用した作品もリトグラフと称しています。
それはともかく、版種の中で最も難しいといわれるリトグラフを研究する場として、ツクハエを設立しました。
イイヅカ・サトコさんの先輩が開かれた、工房のホームページ。
4.四畳半のリトグラフ
貧乏ヒマありの絵描きが四畳半でリトグラフ制作に挑戦するレ・ミゼラブル。
筆者が、リトの森に彷徨いこむ原因となったホームページ。
「キッチンリトグラフ」は、何処までも。
5.Itazu ILitho-Grafik リトグラフ制作工程
イタヅ・リトグラフィック
作家とのコラボレーションを基本とするオリジナル・リトグラフ版画工房。
石版 リトグラフの制作工程、アルミ版 リトグラフの制作工程共に、詳細に解説されている。
6.新日本造形ホームページ 平版画について
全国の学校や様々な教室・施設をはじめ、美術愛好家から専門家までの幅広い分野のニーズに対応した 「造形材料」をカタログを通して提供しております。
版画や陶芸関係の用具材料のカタログ販売会社。
平版についても、要領の良い解説がされている。
実際に用具を購入するときの参考になる情報が書かれている。
例えば、 「版画プレス機の購入にあたっての選定基準はどのようなものですか?」
という問の設定に対して、
(1)版種による選び方
(2)制作する作品のサイズによる選び方
(3)プレス機を設置する場所は一定のスペースが必要です!
(4)エッチングプレス機は、構造よりハンドル操作に 特徴があります。
------など、それぞれの項目に対して、こまめな情報を提供している。
7.915PRINTWORKSHOP◆ リトグラフのできるまで - 製版の進め方 ◆
■ 横井山泰の版画制作日記
■ 松谷武判[円-CERCLE 05-06]リトグラフ制作日記
■ アルミ板の研磨を探る
■ コラグラフという不思議な版画!
■ インクを作る
8.「Paper Dress」
Paper Dressは、イラストレーター松本加代子のアトリエです。
長野県在住の松本 加代子(イラストレーター/デザイナー)のホームページ
仕事内容●書籍イラスト・カット、紙面デザイン(パンフレット、チラシなど)、Webサイトの企画・制作を主に手がけています。
イラストは手描きテイストのおしゃれであたたかな作品を、Webは心に響くようなHP作りを目指しています。
トランスファー技法、ドライポイントなど版画ワークショップも行っています。
と、いうわけで、版画についてのページは参考になります。
「リトグラフ」
9.版画HANGA百科事典 目次
「版画のミクロコスモス」の中のサイト。
このコーナーは、リトグラフ: 永沼版画制作 代表 永沼 政之、銅版画:永沼版画制作 アトリエ部 代表 中込 洋子によって執筆監修しております。
10.女子美術大学版画研究室
版画コースカリキュラム の解説の形で、各版画の工程や用法が写真付で説明されている。
石版画 ・銅版画・木版画・シルクスクリーン
ブログも随分参考になる。
女子美術大学版画研究室ブログ
11.京都精華大学版画コースSeika-HANGA
製作工程などの解説はないが、制作風景を描いたイラストなどがカワイイ。
12.大阪芸術大学版画コースBLOG
大阪芸術大学 芸術学部 美術学科 版画コース
が運営しているブログです。
実習風景の写真を眺めているだけでも楽しい。
13.武蔵野美術大学
造形ファイルアートとデザインの素材・道具・技法
「リトグラフ用具」
関連項目
石版石 アルミ板 リトクレヨン アラビアゴム 製版液 プリントクリーナー 製版インク(リトグラフ用) プリントインク(リトグラフ用) ローラー プレス機
リトグラフの項目以外にも、関連した項目があり、一つ一つの説明が丁寧。
14ポリエステル・リトグラフって何?
.What is Polyester lithography?
.「Who is Naoji Ishiyama? 石山直司って誰?」というホームページの、版画家石山直司さんが、実践した、ポリエステル・リトグラフのレポート。いや、レポートいうよりポリエステル・リトグラフのオルガナイズ。面白いです。
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15.「版画芸術」 (阿部出版)2011年秋NO.153
「版画技法入門講座」
リトグラフを作ろう
第1回リトグラフの基礎
講師・佐竹邦子
「版画芸術」の最新号なので、次号に、第2回目が載るのだろう。
下記の「版画芸術」NO.123に佐竹邦子さんの、「足で踏んでリトグラフ制作」という、木版リトグラフの実践記事が出ている。
16.「版画芸術」 (阿部出版)2004年秋NO.123
特集「日本式リトグラフ」
「篠田桃紅」流 一枚のリトグラフから 青野和子
小作青史 枠組なきリトグラフ 化学反応技法+物理的技法
園山晴巳 現在進行形のリアリティ
星野美智子 黒のリトグラフ 無限の象徴
武藤篤彦 「版」---絵画の自由度
リトグラフの優しい原理解説
リトの技法的には、小作青史へのインタビューが一番面白い。
さすが、「木版リトグラフ」という、新しいリトを創作された方だけのことはある。
やってみなはれ、ためしてみなはれ、・・・・・四畳半氏に、通じる貪欲さである。
園山晴巳、星野美智子、武藤篤彦、各氏も、その作品の実践的な内容で、版画作家という方々が、
それぞれの作風を作っていくということ自体が、新たな版画技術を探っていく過程などだと教えてくれる。
その中で篠田桃紅さん� �、全く異なった場所でその作品を作られているのだといえる。
彼女には、木村希八という稀代の摺師がその版画制作のパートを支えていて、彼女は、水墨絵師として純粋に趣くままその筆を走らせている。このこと自体、書道家として出発した故の作家として、稀代希なる幸運な立場を自ら見付け得たものだと言える。無論それは、彼女の幸運ではなく、彼女の情熱の厚みであり、深さによってであることはいうまでもない。
自ら作陶をせず、絵付けだけで大作家として名を残した、魯山人を思い起させる。
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(追加)10/20
17.造ハウ.COM
ネット通販で、「用具」「材料」を探して値段などを比較すると、
「造ハウ」がお手頃な値段であるような気がす� �。
例えば、
「アルミ板 20×30㎝」 造ハウでは、359円、画材販売では、399円 文房堂などもそれくらい。
「チンクタール100ml」 造ハウで、1418円、画材販売1575円 夢工房なども同じくらい。
で、とりあえず、「造ハウ」さんのサイト。
18.「季刊版画」9号~12号(1970年10月~1971年7月)
吉原英雄「石版画の技法」
ひょっとすると、この雑誌は、今では幻の版画雑誌ということになっているのかも知れないが、
版画ブームの最先端を走っていた当時の新鋭版画家が毎号登場していた。
12号で休刊して、それから暫くしてから、「版画芸術」が創刊された。
たまたま、この古い雑誌が手元にあるので読返している。
吉原氏は、元々、6回の連載の予定をしていたらしいが、雑誌が12 号までになったために4回連載に圧縮したと書いている。
「最近では、印刷会社で、石版石の代りに金属平版を使うようになったので、石版石の輸入は止ってしまったようである。」
などと、書かれていて、直近まで印刷会社で、石版石が使われていたような話に、時代を感じる。
技術的なことでは、説明のなかなか解り難い石版画について、非常に丁寧な解説だと言える。
使用材料についても成分など、一つ一つ書上げていて、作業工程でも、自身の作業上で気づいた些細なTIPSを惜しげもなく書留めている。
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(追記)11/5
《魚津章夫公式サイト》に、「季刊版画」の紹介が載っている。
(追記)11/18
東京では仕方ないが、・・・・・・。
19. 東京版画研究所
東京版画研究所 | Facebook
上記、「2.石版画研究会報告書 東京版画研究所」参考
- リトグラフ
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今日は天気が悪い。
朝はどんよりとした曇り空で、出かけるとき、
パラパラと冷たい雨粒が落ちてきた。
昼からは、しっかりとした降りになった。
夕方、その雨の中、車で出かけた。
その時間帯は小学生の帰宅時間帯と重なっていて、いつもなら、
つまり天気の良いときは、何人かがふざけあい、
道路いっぱいにはみ出したりして歩いている。
はらはらするほど、無頓着である。
車はその小さな王様、女王様達に気を使いながら、走っている。
しかし今日は雨で、かれらは傘を差して真面目な下校姿である。
さて、筆者のリトグラフのお手本は、先の「四畳半のリトグラフ」と、佐竹邦子さんの「入門講座」である。
とは云っても、まだ全然現実の世界では、ほとんど何も進んでいないのだが。< /p>
[版画芸術」2011年秋NO.153
「版画技法入門講座」リトグラフを作ろう
第1回リトグラフの基礎 講師・佐竹邦子
これでは、製版の工程に「シリコン」が使われている。
「今回は、従来製版に用いていたチンクタールではなくシリコンを使用し、・・・・・・・。」
と、ある。
先に筆者は、この佐竹さんの入門講座について、ウォータレス・リトグラフのことのように書いてしまっていたが、佐竹さんの技法は、あくまで湿式リトグラフであって、ウォータレス・リトグラフとは、異なる。ウォータレス・リトグラフは、「アラビアゴムの代りにシリコンボンドを使用する」という風に書かれている。それについては後日、もう少し詳しく、どのようなものなのか調べてみたい。
取りあえず、� ��シリコン」のお温習い。
ケイ素(シリコン)
出典:『ウィキペディア(Wikipedia)』
ケイ素(ケイそ、英: silicon、羅: silicium)は、原子番号14の元素である。元素記号は Si。「珪素」「硅素」「シリコン」とも表記・呼称される。地球の主要な構成元素のひとつ。半導体部品は非常に重要な用途である。
常温・常圧で安定な結晶構造は、ダイヤモンド構造。比重は2.33、融点1410 °C (1420 °C)、沸点は2600 °C(他に2355 °C、3280 °Cという実験値あり)。ダイヤモンド構造のケイ素は、1.12 eVのバンドギャップ(実験値)をもつ半導体である。これは非金属であるが、圧力(静水圧)を加えるとβスズ構造に構造相転移する。このβスズ構造のケイ素は金属である。周期表においてすぐ上の元素は炭素だが、その常温常圧での安定相であるグラファイト構造は、ケイ素においては安定な構造として存在できない。