【読者投稿への講評4】「世界と日本をつなぐ夢」/アルコムワールド
皆さん、エッセーの投稿ありがとうございました。読者を意識した内容の選び方や、エッセーの書き方など、常連の皆さんは、回を追うごとにレベルアップされているなと感じます。この講評で取り上げた方のその後の成長ぶりを拝見するのも、楽しいものです。また最近エッセーにチャレンジし始めた方もありがとう。ぜひ一緒に、英語発信にチャレンジしましょう!
今回の「世界と日本をつなぐ夢」というテーマは少し難しかったかもしれません。夢を設定するということは、何かを成し遂げるときに最初に超えなければならない高いハードルです。そのなかで、皆さんそれぞれの立場から、夢を語っていただけたことを、うれしく思います。
講評ピックアップ作品
ステレオタイプなイメージとの、ギャップを楽しむ
○ masamimameさん
改めて感じることは、いわゆる「ステレオタイプ」というものは、コミュニケーションの邪魔になるとは必ずしも限らず、そこから相手への興味や、関心が生まれるきっかけにもなるなということです。
アメリカ人が日本人に対してゲイシャやフジヤマといったステレオタイプを持っているのと全く同じように、日本人もアメリカ人に対して陽気で外向的、物質主義といったステレオタイプを持っている。そのような固定観念が破れるときに、実に爽快な新世界が開けるようにも思います。まさに、そこにこそ異文化コミュニケーションの醍醐味もある。masamimameさんのエッセーは、そんな感激が伝わってくる英文でした!
自分が情熱を持って語ることのできるテーマを持つ
○ makimakoさん
Glass Artに対するパッションが伝わってくる。自分の好きなことについて、一生懸命語る文章というものは、人に訴えかける力が強いものです。しかも、日本人がどのようにして世界と交流していくかということについて、重大なヒントもあるように思います。それは、何か具体的なものを手がかりにするということ。
一つの表現方法を掘り下げていけば、必ずそこには自分や自分の国の文化が現れます。それが必ずしも日本起源のものでなくてもいいと思います。もともと、文化は交流するものであり、行き交う中でそれぞれのオリジナリティも磨き上げられていくからです。makimakoさんにとってのGlass Artのような、自分が情熱を持って語ることのできるテーマを持つということは、英文上達の一つの秘訣かもしれません。
海外の人に理解してもらうには、強い自己主張も必要
○ Musenankouさん
assertiveであることについての考察が面白いと思います。
日本での滞在経験が長いある文学エージェントの外国人に聞いたのですが、最近では日本を舞台にした小説が海外でも人気があるそうです。つい最近も、なんとイギリス人が描く「宮本武蔵」を主人公にした小説の権利を売ったのだそうです!
ところが、一つ問題点があって、外国の読者は、日本人にとっては「しつこい」と感じられるほどディテールを書き込まないと納得しないのだそうです。たとえば、「街を歩いていると醤油の匂いがしてきた」というように。日本人にとっては当たり前で、それを書くとバランスが崩れると思うほどディテールを書き込むことで初めて外国人向けの、日本を舞台とした小説として成立する。ここには、Musenankouさんの問題意識にも通じるヒントがあるように感じました。
今回は日本語ディスカッションでもエッセーでも、若者の立場、また年長者の立場、あるいは仕事を持つ方、主婦の方……、皆さんそれぞれの立場に立って、しっかりと考察されているのが印象的でした。さらに違う立場の方々同士のコミュニケーションがあったのも、とてもいいことですね。インターネットという、垣根のない場所での学びならではのことです。
新しい課題についてのエッセーも、楽しみにお待ちしております。一度講評で取り上げた方でも、初めてのチャレンジの方でも、分け隔てなく取り上げていきたいと思います。
2012年1月19日 茂木健一郎
「クオリア・ジャパン・プロジェクト」は、茂木健一郎さんを塾長とするハイブリッドメルマガ英語私塾。1月は「東京右半分」より「新しく生まれつつある文化」「次世代に伝えたい大衆文化」などについて発信。参加者それぞれが日本語で議論を交わし、さらには短文やエッセーなどを通じて、世界に日本を発信するミッションに取り組んでいます。詳しくは上の「クオリア・ジャパン・プロジェクトとは」を、今すぐクリック!
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